お金を持つビジネスマン時には顔や性格よりも重要視されるお金があるのに、女性から嫌われる男性は何が間違っているのか Photo:PIXTA

経済力も社会的地位もそれなりにあり、見た目だってそんなに悪くはないのに、なぜか女性に嫌われがちな男性というのは少なからずいる。女性にモテる「お金の使い方」とはどのようなものなのか。(作家・社会学者 鈴木涼美)

お金があるのに
モテないオジサン

「お金で愛は買えるか」という問いに対して、誰もが答えはYESでもありNOでもあることを半ば確信してはいるものの、幸福そうに見える高収入者を見るとその確信は揺らぎ、その揺らぎを肯定しまいとあえて「結局カネかよ」なんて口にしたがる。

 オンナ同士の会話では昔からよく、「金持ちのブサイク」か「貧乏なイケメンか」(あるいは、「金持ちで嫌なヤツ」か「貧乏で優しい」か、「金持ちな亭主関白」か「貧乏なイクメン」か、など)という問いが、まるでウンチ味カレーかカレー味ウンチかのように、究極の選択肢として議論のネタになるし、もちろん時にその問いは、金持ちのオジサンか貧乏な美青年かという広がりを見せる。

 そんな会話を女がすでに何百年も続けているということは、ある意味それが結論が出ないほど悩ましい問いであるということだ。

 いずれにせよ、歳をとってから若さを手に入れることは不可能に近いし、今さら美容整形で顔を交換するのも現実的ではないのに対し、多くの中年は、少なくとも若者よりは経済的にある程度恵まれている場合が多い。そして女が男を選ぶのに、ある程度の経済的豊かさは、時に若い身体や端正な顔立ちなどを簡単にしのぐほど重要条件になるのは間違いない。

 かつて『結婚の条件』で、当時の女学生たちの男性を選ぶ気分を鋭く分析した小倉千加子氏は、「美人であること」を相手に求める男と、「経済力があること」を相手に求める女が、手持ちの資源を交換する行為、つまり「カネ」と「カオ」の交換こそ結婚だと斬った。

 だが、それから15年以上がたった今も、社会的立場や教養や発言力が飛躍したかに見える女たちが、男選びのフェティッシュまで綺麗に脱皮して進化したとは言い難い。

 たとえ、かつての男性並みの学歴と収入を得ている女性であっても、デート相手の財布の中身はかなりの関心事だし、男女同権を声高に要求している女性であっても、お金持ちの男が好きという人だってもちろん多い。