私も外で人に会う時はスーツを着ることが多いですが、現在事務所として使っている、私が生まれ育った料亭である橘家に人をお招きする時は作務衣という甚平のようなものを着ています。橘家が日本家屋なので、その方が雰囲気が合うというのと、お招きする人に余計な緊張をさせないようにという気持ちもあります。

 人を招く時はリラックスしてもらえるように。自分から出向く時には、正装で相手を不快にさせないように。そうした時と場合に合わせた相手への気づかいから会話がはじまるのです。

相手との会話を覚えておき
次に会ったときに話題にする

 では、実際に話をする時にはどんなところに気をつけるべきでしょうか。

「仲良くなる」「いい印象を残す」という意味で考えた時、ポイントは面白い話を用意しておくことでもセンスのいいお土産を渡すことでもありません。

 大切なことではあるのかもしれませんが、優先順位は下です。

 一番は「あなたに興味がありますよ」というサインを送ることです。キーワードは、「記憶する」ということです。

 たとえば、あなたが初めてバーに入ったとしましょう。隣の席には常連さんらしき人がいて、バーテンさんとちょこちょこ話しています。その常連さんに話しかけるにはどうしたらいいでしょうか?

 私なら、「すみません、さっき○○の話をしてましたけど……」という感じできっかけをつくります。
その人との会話を覚えておくのです。

 相手との距離を縮めるという意味で、この記憶というのは大切な要素となります。

 たとえばメールを送るとき、「この前おっしゃっていた○○、試しました」とか、「薦めていただいた映画見ましたよ」とか、その一言を添えるだけで印象は変わります。

 私自身がよくやるのは、その人との話で盛り上がったことや、「興味がある」と言われていたことを次にお会いした時に話題にするというものです。