老舗料亭の子として「心」を学び、三越入社後は「スキル」を、米国ディズニーで「仕組み」を学んだ、おもてなし・ホスピタリティのプロフェッショナル、上田比呂志氏が新著『ディズニーと三越で学んできた日本人にしかできない「気づかい」の習慣』を出版した。同書の中から、相手の心をつかむ心くばりの方法をレクチャーする。今回は、接客でも仕事でも心掛けたい、相手に気をつかわせずに気をつかうふるまい方について。
高級旅館の
つかず離れずの距離感
気づかいで大切なのは、「ちょうどいい塩梅」。
この感覚が非常に難しいのですが、行きすぎた気づかいや重たい気づかいというのは、かえって相手の負担になってしまうのです。
本当に気づかいができる人というのは、引きどころも知っています。
「そっとしておく」「放っておく」という気づかいができるのです。
たとえば、日本には無数の旅館が存在していますが、その中でも特に評価の高い旅館というのは、このあたりが実に上手です。
チェックインを済ませ、宿帳などを記入しつつ、世間話なんかをしながら部屋まで案内してくれますが、そのあとはそっと放っておいてくれます。