「コロナ対策」の輸出で
世界各国とのつながりを強固に

 また、医療崩壊したイタリアにも中国は医療チームを派遣しているが、同国はG7で初めて「一帯一路」の協力の覚書を交わした国である。今月8日には、ナイジェリアの医師会が「来るな」と反発しているにもかかわらず、中国は医療チームを派遣している。ご存じのように同国は、中国国営企業が多く進出して開発を進め、一部から「植民地」などと揶揄されている。

 つまり、もともと中国とつながりの深い国に「新型コロナ対策」を輸出することによって、医療体制の“中国依存”を高めて、より強固な経済関係を築いているのだ。

 このような中国の、コロナを「商機」としているような積極的な動きが、「武漢ウイルス研究所起源説」を後押ししているというのは容易に想像できよう。

 そこに加えて、この説が信憑性をもって語られる最大の理由は、「新型コロナの世界的流行」が、中国政府最大の窮地を救った、という動かし難い事実があるからだ。

 それは、香港の民主化運動だ。

 この数カ月の世界の混乱ですっかり忘れてしまった人も多いだろうが、コロナ流行以前、世界が注目した中国のニュースといえば、香港の民主化運動をどうやって、中国共産党が鎮圧をするのかということだった。昨年11月には、人民解放軍も初出動して、いずれは天安門事件のような武力鎮圧もあるのではないかと注目されていた。

 もしそれをやってしまったら、国際社会の批判は一気に噴出。中国本土での不満も高まるので、習近平体制崩壊につながる恐れもあった。そのような意味では、香港の民主化運動は間違いなく中国の命運を分ける「危機」だったのだ。

 しかし、それが今はスコーンとどこかへ飛んでいってしまった。新型コロナの影響で、世界がそれどころではなくなったのだ。

 中国政府の最大の危機が、これまた中国発の世界的パニックで一気にかき消されてしまった。偶然にしてはあまりにもできすぎたタイミングである。

 しかも、国際社会の目をそらすことができただけではない。事実として、中国政府が今回のコロナパニックをちゃっかりと鎮圧に利用しているのだ。

 今月18日、香港当局が民主化運動で中心的な役割を果たした有力者を一斉に逮捕している。3人の民主党元主席を含む、異例の大量検挙だった。これを受けて、「雨傘運動」の元リーダー、黄之鋒氏はこのようなコメントを発表した。

「全ての国家が新型コロナと戦っている最中に、中国の独裁体制は香港の民主化運動への弾圧を進めている」