模範的な上司にこそ
部下は信頼を寄せる

 他の人を動かしたいと思うのなら、感情や行動を含め、まずは自分をコントロールすることを覚えねばなりません。

 引用した一節のように、自分が模範を示せていないにもかかわらず、下の人たちに「ああしろ」「こうしろ」と言うのは筋が違います。

 自分のことを棚に上げて「あいつはダメだ」と言うのは簡単ですが、そうするとたいていの場合、下の人間も「あの人はダメだ」と思っているものです。

「好かれようとする人は誰からも好かれない」といったように、信頼関係というのはつくろうと思ってつくれるものではありません。

 むしろ、「信頼されよう」「コントロールしよう」などと思って人と接していると、どんどん視野が狭くなってしまいます。

「信頼されていない」と思ったら勝手にへこみ、「コントロールできない」と思ったら怒り出す。非常に短絡的な視点しか持てなくなってしまうのです。

 そうではなく、自分を律し、部下に「あの人のマネをしてみたい」と思わせるような模範的な仕事ぶりを見せることが第一歩なのです。

感情的すぎても
ドライすぎてもいけない

 自分をコントロールする方法は「情熱的な心」と「冷静な頭」を持つことだと私は思っています。情熱と冷静さ、どちらが欠けてもいけません。

 両方を兼ね備えるのです。

 ドライすぎて物事への情熱が感じられない人には距離を感じてしまいますし、情熱が強すぎて根性論や感情論に頼りすぎるのも考えものです。

 そもそも、強く注意したくなるほどの欠点を持つ部下というのは、一度や二度でその欠点を解消できるものではありません。多くの場合、根気強いケアが必要なものです。

 だからこそ、一時の感情ではなく、戦略をもって叱らなくてはなりません。