森会長「再延期は絶対ない」発言で
判断力と見識のなさを露呈

 4月22日、東京2020組織委員会の森喜朗会長は、記者会見で「新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期となった東京大会の再延期は『絶対ない』との見方を示した」と報じられた。スポニチには、続いて次のように書かれている。

『「選手のことや大会運営上の問題を考えても2年延ばすことは技術的に困難」と説明。感染終息に懸念があり、安倍首相には「2年は考えなくていいんですか」と尋ねたが、「首相が1年でいい、と決断した」と明かした。』(スポニチ2020年4月23日付)

 この発言に「よかった!」と快哉を叫んだ人がどれほどいただろうか? 現状とあまりにもずれていないか? 私が取材しているオリンピックに出場予定の人たちでさえ、戸惑っている。

 延期を議論する前後から、日本政府、東京都、東京五輪組織委員会は一度たりとも、都民や国民に、東京オリンピックの延期や中止に関して意見を求めていない。すでに決まったことだからとばかり、国民の思いなど聞くこともせず、一方的に進めている。しかも、東京都がホストであるにもかかわらず、都知事選の候補者擁立などの絡みもあるのか、小池知事は静かになり、本来は当事者でないはずの安倍首相が交渉の先頭に立った。スポーツ界の意向すら聞くことなく決められた。民意が入り込む余地を抑え込んでいる。

 責任ある立場の人々、その分野を担う人々は、有事下においても将来を展望し、備える視野を持つことは重要だ。だから、多くの人々がいまに汲々とする中でも先を見据える人たちがいてほしいものだ。しかし、この期に及んで「再延期は絶対ない」と断言し、「1年でいい」と決断する組織委員会会長や首相に総合的な判断力や見識があるとは思えない。