「家にいて!」「STAY HOME!」そう言っても、なかなか言うことを聞きにくいのが人です。
新型コロナウィルスを収束させる方法があります。それは「家にいること」。効果は、すでに厳しい外出制限に踏み切った海外の都市が証明してくれています。しかし、実際には会社がテレワークを許可してくれなかったり、家族が協力してくれない場合もあるでしょう。
そこで『伝え方が9割』の著者でコピーライターの佐々木圭一さんに、家にいてもらう上手な伝え方を伺いました。(構成 辻井葉子)

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世界に学ぶ、コロナ危機を乗り越えるための伝え方

「STAY HOME‼」を大切な人にどう伝えたらいいのか。
世界各地では優れたリーダーたちから、すすんで協力したくなったり、国民に希望を与えるようなコトバが次々に生まれています。まずは、米国から。

「もし皆さんが、自分はスーパーヒーローだから外出できるし、感染もしないと思っていたら、それは真実ではありません。」

「リーダーとして私は、(良くない情報も含めて)正確な数字を伝える義務がある。ここで公表することは、私が知っている限りの全ての、最新の事実です」
ニューヨーク州 アンドリュー・クオモ州知事

感染者数が米国内でもっとも多い州なのにもかかわらず、支持率が急上昇しているのがニューヨーク州のクオモ知事。彼は毎日州民に向けて会見を生中継し、外出しないよう呼びかけるとともに、具体的な数字の最新情報、州の対策などを発信し続けています。
相手にお願いを聞いてもらうには、相手の信頼を得ていることが絶対条件です。よく見せようとせず、誠実に真実を発信しつづけるクオモ氏の「伝え方」が、ニューヨーカーの心を掴んでいるのでしょう。

「特効薬はない。魔法のワクチンも治療法もない。あるのは行動だけだ」
米対策チーム デボラ・ブリックス博士

日本でもそうですが、「行動してください!」と言っても、なかなか人は動きにくいものです。でもこのコトバは、米国の人々の心に届いています。このコトバには、ちょっとした秘密があります。「特効薬もワクチンも治療法もない」けれども「行動はある!」のように、正反対のコトバが入っているのです。正反対のコトバが入っていると、より印象深く人に伝えることができます。相手に行動を促す、うまい伝え方だと思います。

「皆さんが外出を控えるだけで稼いでくださる時間を活用し、器具の備蓄を増やし、治療法の研究を加速させ、ワクチン開発を先駆けて研究していきます。数百万個の検査キットを買い、この目に見えない殺人者との闘いで形成を逆転させます」
イギリス ボリス・ジョンソン首相

家にいればいるほど、ウィルスに勝てる。そのための作戦をはっきりと示したジョンソン首相のコトバは、とても説得力があります。
ただ禁止したり、要請するよりも、メリットが見えていた方が人はお願いをきいてくれるもの。家にいるのは「人工呼吸器を増やして、治療法を見つけるため」と考えれば、国民もすすんで協力しようという気になれますよね。

「明日、より愛情をもって抱き合うために、今日は距離を保っていましょう。」
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相

コンテ首相はイタリア人らしい、とてもキャッチーでロマンチックな伝え方です。「ハグもだめ、キスもだめ、会うのもだめ!」という状況に疲れつつある国民に寄り添って、すべては「(もっとも価値ある)愛ある抱擁を取り戻すため」というメッセージは、国民を前向きな気持ちにさせたはずです。

「私たちは、人類を救うことができる。寝転んで、テレビ見てるだけで。」
ニュージーランド警察

これはユーモアがあるうえに、とても高度な伝え方だと思います。
「人類を救うことができる」という、映画のヒーローを思わせるコトバと、「テレビの前で寝転ぶ」という、だらしない人代表のコトバ。このギャップのおもしろさが若者にも響いたはずですし、何より記憶に残ります。

では、この日本で、このコロナ危機から自分や家族の身を守るための、上手な伝え方を考えていきましょう。