進歩陣営では、李洛淵前首相の国民的人気が高い。ただ、進歩陣営では過去、候補者選びは、国民的な支持に加え、それぞれの支持基盤が重視されてきた。

 李洛淵氏は全羅道での支持が見込める半面、党内基盤が弱く、若年層などにも人気がある任鍾晳元大統領秘書室長や、コロナ問題での果敢な対応で注目を集めた李在明京畿道知事らの台頭を予測する声もある。

 保守陣営の混迷はさらに深刻だ。今回の総選挙では「保守のアイコン(偶像)」と位置づけられてきた、黄教安元首相、羅卿ウォン元党院内代表、呉世勲前ソウル市長らがそろって落選した。

 いずれも、与党が圧勝したソウルから出馬したこともあり、新型コロナ問題で吹いた逆風をもろに受けた格好になった。

 いずれも、次期大統領選に意欲を持っているとみられていたが、この敗北でそろって可能性はほぼ消えた。

 ただ、2007年大統領選で、過去に議員はやったものの、その後に務めたソウル市長も退いた後の李明博氏が勝利した例もあり、元喜龍済州島知事らに期待する声が上がっている。

コロナ対応で余裕のない日米
「独自外交」進めれば軋轢強まる

 こうした政治状況を考えると、文大統領は、残る大統領任期中は今回の総選挙で再び強まった国内の政治基盤を背景に、北朝鮮融和策などこれまでの政策を前に進めようとするだろう。

 だが、日本の政府や与党内では、韓国与党圧勝の結果に対しては冷ややかな反応が広がっている。

 自民党の有力議員の1人は、「これで当分、日韓関係の改善はないだろう」と語る。

「首相官邸には、元徴用工判決にせよ、慰安婦合意の破棄にせよ、文政権がことごとく日韓関係悪化の原因を作ってきたという意識が強い。文氏が譲歩しない限り、関係が改善することはありえない」と突き放す。

 実際、安倍首相は昨年12月の日韓首脳会談で、韓国政府の責任で問題を解決すべきだという考えを文大統領に伝えている。

 安倍政権自体が新型コロナ問題で、支持率に陰りが見え、基盤が不安定化していることも影響しそうだ。

 コロナ対策で打ち出した生活支援の「30万円の現金給付」が一転、「国民一律10万円給付」に修正するドタバタは、政権のガバナンスの欠如を露呈した。