中国が新型コロナウイルスの封じ込めに一定の成果を出したその理由を、“大胆な封鎖措置”だけで語ることはできない。ワクチンもない、特効薬もないといわれる新型コロナの脅威だが、今、スポットが当たるのは「漢方の効き目」だ。中国では新型コロナウイルスの感染者に漢方治療が導入され、その成果が続々と報告されているというのだ。私たちには「漢方」という言葉になじみがあるが、本文では中国で常用される「中医薬」という言葉に置き換えてお伝えしたい。(ジャーナリスト 姫田小夏)

中医薬に関する“定説”

中医薬
中国では新型コロナウイルスに「中医薬」(漢方)が効くといわれているが、その背景にある事情をよく注視する必要がありそうだ Photo:China News Service/gettyimages

「中国では今、多くの患者が中医薬万歳!を唱えています。西洋医学に中国の伝統的な中医薬を結合させる『中西結合』というコンビネーションで、てきめんの効果が出ているのです」

 こう語るのは、亜細亜大学の範雲涛教授だ。中国古来の伝統医学に根差す中医治療は、今なお中国で研究開発が続けられており、このコロナ禍でも力を発揮しているという。

 湖北省武漢市で都市封鎖が行われたわずか2日後の1月25日、習近平国家主席は中央政治局常務委員会の会議で、感染者治療における「中西結合」を強く指示した。

「中医主導の中西結合モデルを飛躍的に高めよ」――

 国家中医薬管理局はこの習氏の要求に対して即座に反応し、27日に「新型コロナ予防治療プロジェクト」を起動させた。

 4つの省での中医薬治療の実験的な導入を経て、2月6日には国家衛生健康委員会が、「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう、麻黄、炙甘草、杏仁をはじめとした生薬で構成された中薬)」と西洋医学を結合させた使用を推薦すると、これがたちまち全国に広がった。

 武漢封鎖から2カ月後の3月23日、国務院が湖北省武漢市で開催した記者会見では、中国全土における新型コロナ感染患者7万4187人のうち、91.5%に上る患者が中医薬を服用したことが明らかになった。ちなみに、このうち9割以上に当たる6万1449人が湖北省の患者である。

 北京中医薬大学によれば「中医薬は重症化を阻止し、重症患者の病状を緩和させ、治癒率を高め、死亡率を低減させることができる」という。中医薬治療で感染患者の9割に「効果が出る」というのは、中国では “定説”になりつつある。