日本企業、緊急事態宣言
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新型コロナウイルスによる影響で世界的に製薬サプライチェーンが混乱し、日本でも一部のジェネリック医薬品(後発医薬品)の供給に支障が出始めている。医薬品の有効成分である「原薬」の多くを海外に頼っているからだ。『日本企業、緊急事態宣言』の#13では、国内製薬メーカーの当惑ぶりと米中で浮上した“新たな覇権争い”の構図を解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

ジェネリック大手、東和薬品の一部で
新規の医療機関からの注文ストップ

「かなりヤバい状況になってきた」と、製薬業界に動揺が走っている。

 新型コロナウイルスの影響で、医療用医薬品の有効成分「原薬」の輸出大国である中国、インドの製薬サプライチェーン(供給網)が混乱し、いよいよ日本でも製品供給に支障が出る事態が生じている。ダイヤモンド編集部が指摘していた危惧(ダイヤモンド・オンライン3月13日配信『コロナで製薬サプライチェーンが混乱、ジェネリック業界再編を促す理由』)が、現実のものとなりつつある。

 おさらいすると、国内で流通する医療用医薬品の原薬は安価な海外由来が少なくない。特にジェネリック医薬品(後発医薬品)はその割合が高いとされる。薬価(医療用医薬品の公定価格)引き下げ圧力が強く、製造原価を抑えることに必死だからだ。

 インドの混乱を受け、大手ジェネリック医薬品メーカーの東和薬品は一部の製品群(高血圧症治療薬「バルサルタン」の単剤と配合剤)で出荷調整を始めた。既に取引がある医療機関には供給を続けるが、新規の医療機関からの注文を受け付けなくなった。

 東和薬品によると、当該製品群はインドと国内原薬メーカーの2ルートで原薬を調達してきた。ところがコロナショックで、インドが3月25日から全土でロックダウン(都市封鎖)を実施(4月14日までの予定だったが5月3日まで延長)。その結果インド国内の物流がストップしてしまい、インドからの原薬の輸入が止まったというのだ。

 原薬の在庫はあり、国内原薬メーカーからの供給も続いているが、万が一にも既存の顧客への供給支障が出ることを避けるための対応だという。

 東和薬品は子会社に国内原薬メーカーを持ち、業界内で「ジェネリック医薬品メーカーの中では原薬の国内依存度は高い」といわれている。それでも、このような事態となった。

 表面化していないだけで、他にも対応に追われているジェネリック医薬品メーカーは数多くありそうだ。