ESG投資とSDGsの目的意識は
持続可能な社会を構築していくこと
日本におけるSDGsへの取り組みは、政府が早くから動いてきた。
2016年、首相を本部長とするSDGs推進本部を政府内に設置し、2017年以降は、毎年「ジャパンSDGsアワード」の選考などが行われている。民間の動きも早かった。2017年に、経団連(日本経済団体連合会)が「企業行動憲章」を見直して、「Society5.0 for SDGs」に改訂。SDGsを意識した企業活動の音頭を取っている。
企業、特に、上場企業の間でSDGsへの関心が高まったのは、2017年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資に1兆円規模の資金を投じることを発表したのがきっかけだ。ESG投資とは、世界中の年金基金など、機関投資家が投資先企業を選ぶ際、E(Environment)、S(Social)、G(Governance)への取り組みを重視するというもので、上場企業にとっては、自社の株価や経営に大きな影響を与えかねない。
ESG投資とSDGsは別の話ではあるが、持続可能な社会を構築していくという目的意識は共通している。大手企業は、ESG投資という投資家サイドからのプレッシャーを受けて、「SDGsが重要」という意識を深めたのである。
いまや、世間にはSDGsのアイコンが溢れるようになり、さまざまなところでSDGsが語られるようになった。SDGsの認知度も、ここ数年で急速に高まっている。
SDGsが目指す2030年まであと10年。これまでが助走期間であったとすれば、これからが実現へ向けた本番なのである。
※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」内特集《SDGsと多様性のいまを知る》のPART1テキストを転載(一部加筆修正)したものです。