就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた本として
12年連続大学生協第1位のベストセラーを誇る『絶対内定』シリーズ。

コロナ禍で価値観が大きく変わるなか、会社選びも大きく変わってきている。
自分らしい働き方とは、生き方とは…、就職活動ができずにいる今、
じっくり自分と向き合う時間を『絶対内定』と過ごす就活生が増えている。

今回は『絶対内定』シリーズの共著者でありキャリアデザインスクール・我究館の館長である熊谷智宏さんと、個々の価値に向き合ったキャリア支援サービス「TURNING POINT」を手がけるほか、大手各社から先進ベンチャー向けの経営コンサルティングに従事するエッグフォワード代表の徳谷智史さんが、「自分が本当にやりたい仕事に出会うための極意」、「長く社会で活躍し続けるためのヒント」をテーマに話し合う。
就活生はもちろんのこと、20代ビジネスパーソンも今こそ知っておきたい内容だ。

前編のテーマは「成長」。「部長になりたい」、「社長を目指す」など「昇進」に魅力を感じない若者が少なくない一方で、気がついたら同期との間に、埋められないキャリアの差が生まれてしまい焦りを感じる若手社員もいる。
キャリア支援を手がける2人が、就活本気度とその後のキャリアの相関関係を探る。
(構成/両角晴香、ダイヤモンド社・和田史子、撮影/宇佐見利明)

『絶対内定』シリーズの共著者でありキャリアデザインスクール・我究館の館長である熊谷智宏さん(左)と、個々の価値に向き合ったキャリア支援サービス「TURNING POINT」を手がけるエッグフォワード代表の徳谷智史さん(右)『絶対内定』シリーズの共著者でありキャリアデザインスクール・我究館の館長である熊谷智宏さん(左)と、個々の価値に向き合ったキャリア支援サービス「TURNING POINT」を手がけるエッグフォワード代表の徳谷智史さん(右)

「俺のときはこうだったよ」おじさん

我究館館長の熊谷智宏さん 熊谷智宏(くまがい・ともひろ)
我究館館長
横浜国立大学を卒業後、(株)リクルートに入社。2009年、(株)ジャパンビジネスラボに参画。現在までに3000人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジのサポートをしてきた。難関企業への就・転職の成功だけでなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。著書に「絶対内定」シリーズがある。

熊谷智宏(以下、熊谷) コロナ禍でリモート勤務が増えましたが、ここでボトルネックとなっているのが「ITスキルの低い上の世代」という会社も多いようです。会社の方針としてはリモート勤務を徹底させたいのに、現場の上司世代がそれを阻み、若手が困っているという話も耳にします。

リモート勤務で露呈された部分もありますが、いわゆる古い価値観の「ダメ上司」に振り回されて、伸び悩んでいる若手会社員は少なくありません。

徳谷智史(以下、徳谷) いろいろな種類のダメ上司がいますが、ありがちなのは「俺のときはこうだったよ」おじさん。

自分の成功体験を一方的に押しつけようとする上司です。こういうタイプは厄介ですね。わかりやすいダメ上司ではなく、過去に成功したこともあるので、自分はできる人間だという自負がありますから。

部下が悩みを打ち明けても、ろくに話を聞こうとせず、とりあえず飲みに誘って「俺のときはこうだった。こうしてみなさい」と長話をはじめてしまいます。

熊谷 いますよね、そういう人。

徳谷 部下からすると、そもそも飲みに行くのはイヤだし、「あなたの時代と今は違うんだけど」と内心うんざりしています。そうとは知らずに、上司は、「今日も『良い話』をしたな!」と自分のモチベーションをあげてしまっている…。

熊谷 おそらく悪気はないんですけどね…。良かれと思ってやっていることで。

徳谷 本人に自覚がないからこそ不幸を招くという見方もできます。

別のケースでは、昨今のハラスメント問題を気にするがあまり、部下と一定距離置いて、「お疲れさま」「体調大丈夫」などと終始当たり障りのないことしか言ってこない上司。

これも、本人は良かれと思ってやっていることですが、部下からすれば「この人、私に全然関心がないんだな。何もわかってない」とゲンナリしたり、「形だけ『やっている感』を出されてもなぁ」と冷めた目で見たり…。

熊谷 ハラスメントの基準が複雑化していますからね。

慎重になる気持ちもわからなくもないですが、女性社員との距離感を間違える上司もいるようです。

まるで腫れ物にさわるような接し方をしてしまって、やる気も能力もある女性社員が、ビジネスパーソンとしてのプライドを傷つけられているケースもあります。

一見いい人も、そこに保身が見え隠れすると部下は冷めてしまいますね。男性の上司が気を遣いすぎてしまい、女性の部下に仕事を振らなかったことで、「女性だから差別された」と誤解を受けてしまうことも…。