上司だって悩んでいる
熊谷 我究館はスクール事業以外に、企業向けの研修も行っています。ありがたいことに、ここ最近、企業様からのご依頼が増えています。
徳谷 「課長のキャリアデザイン研修」みたいなものは、今すごく需要がありますね。
熊谷 管理職の彼らは肩を落としてこう言うんです。「以前は、新人に仕事を振るとお約束のように失敗して、飲み会で慰める、みたいなルーティンがあったのに、今の新人は優秀で振った仕事を予想の2倍のスピードで仕上げてくる。正直、彼らの能力をもてあまして困っているんですよ」と。
実際、最近の学生は夢を持っているし、優秀だし、自己分析をして自分の強みと弱みも理解しています。「Will, Can, Must(やりたいこと・できること・すべきこと)」がわかっていて、意識もそこに向いているんです。
徳谷 おっしゃるとおりですね。
熊谷 管理職の方々を見ていていいなと思うのは、「俺はもう先がないけど、お前の夢は叶えてあげたい」みたいな親心を持っている方がたくさんいるということ。
ですから、徳谷さんが紹介してくださった「良い上司・ダメ上司の見分け方」で、2つの項目がすべて埋まってなかったとしても、自分の「Will(やりたいこと)」を伝え続ける努力はすべきだと。熱意を持って伝えれば、聞く耳を持ってくれるはずです。
徳谷 そうですね。どんな職場でも、人を巻き込む力や、利害関係を調整する能力は、どこかで必ず必要になります。与えてもらうのが当たり前みたいな思考は、早いうちに捨てたほうがいいでしょう。
熊谷 良い上司でもダメ上司でも、上司に自分の人生を預けてしまうようなことはしてはいけないということですね。
ダメ上司の下だからこそ、自分の将来について真剣に考え、自ら行動して変われたという人もいます。キャリアの棚卸しのきっかけを与えてくれたのがダメ上司であれば、結果としてその上司は良い上司なのかもしれません。
徳谷 どんなに恵まれた環境にいたとしても、仕事に関わるすべての人が応援してお膳立てしてくれるわけではないですし、どんな上司も、いずれは異動・退職してしまいます。一生面倒を見てくれるわけではないので、チャンスは自分でつかみに行くというスタンスでいるほうが、成長は早いでしょう。
※次回は、中間管理職も自己分析が必要な理由について語り合います(2020年5月19日更新)。