改正相続#9
Illustration by Yuuki Nara

土地の相続で厄介なのが、相続税の基準となる「路線価」と市場価格である「時価」に差があることだ。そのせいで、より多額の代償金が必要になったり、売れない土地を押し付け合ったりといった相続のトラブルが勃発する。特集『改正相続、もめごと全解決!』第9回では、土地の相続で注意すべき「価格」について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

評価額と時価の差がトラブルに

 飯塚清さん(仮名・62歳)は、先日同居する母親を亡くした。東京区部の閑静な住宅街にあるその自宅は、父が亡くなって以来母の名義となっており、遺産は評価額にして5000万円のその自宅のみだった。

 相続について少し勉強していた飯塚さんは、本特集#8『家と土地の相続がもめやすい理由、「親族で共有」するのは最悪!』のように自宅を相続することでもめるケースがあることを知っていたため、自分が自宅を受け継ぐ代わりに、退職金から2500万円を代償金として弟に渡す案を提示した。

 ところが、弟は「あの家が5000万円だって? もっとするだろう」と言う。その後、地元でなじみにしている不動産屋に聞いてみたところ、確かに自宅は、時価にして1億円は下らないという。

「1億円で売れるのだから、2500万円ではなく、5000万円を払ってくれ。そうすれば納得する」。そう弟は言うが、そこまでの大金を捻出することはさすがにかなわない。飯塚さんは途方に暮れてしまった。

 不動産は「一物四価」と呼ばれるように、さまざまな「価格」が存在するのがやっかいな点だ。

 その中でも、「路線価」と「実勢価格」が乖離している場合は、もめ事になりやすい。