改正相続#7
Illustration by Yuuki Nara

改正相続法の目玉の一つとされていた、生前贈与で自宅を遺産分割から外す新制度。だが、使い勝手が悪く、いまのところ出番はないというのが専門家の評価。うかつに活用を考えない方がよさそうだ。特集『改正相続、もめごと全解決!』第7回では、自宅の生前贈与の落とし穴について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

改正相続法の目玉
「自宅の生前贈与」の新制度

 本特集第2回『改正相続法の配偶者居住権が「新節税スキーム」になる想定外の理由』で紹介した「配偶者居住権」と併せ、相続法改正の注目ポイントとされるのが、昨年7月に施行された「居住用不動産の贈与の持戻し免除の推定規定」だ。

 分かりやすくいうと、結婚から20年以上の夫婦であれば、自宅を妻(夫)に贈与しても遺産分割の対象から外すことができるようになった。その意味するところは、やはり「争族」から妻のすみかを守ることにある。例えば、夫が再婚者で先妻との間に子がいるケースや、実子でも生活に困窮している場合など、遺産分割で後妻(母)が住む自宅不動産の売却を求めることは少なくない。

 そう聞けばこの新制度の活用を考える読者も中にはいるはず。だが、前出の特集第2回『改正相続法の配偶者居住権が「新節税スキーム」になる想定外の理由』で解説した「配偶者居住権」が本来の目的と違う形で注目されているのに対し、こちらの方は「今のところ出番がない」と税理士たちは言う。