改正相続#4
Illustration by Yuuki Nara

絶対の効力を持つ遺言書だが、これまで自筆証書遺言の制度には多くの落とし穴があり、何かと使い勝手が悪かった。だが、新たに始まった制度を活用すればそのデメリットはカバーされる。『改正相続、もめごと全解決!』第4回では、新制度の特徴と遺言書の書き方の注意点について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

自筆証書遺言のデメリットを
カバーする新制度が登場

「遺言書」は、法で認められた人生の最後の意思表示だ。それだけに絶対的な効力を持つ。遺言書の有無が、相続とその骨肉の争い、「争族」の行方を左右するといっても過言ではない。

 改正相続法の施行は2019年1月、本人による手書きでしか認められなかった「自筆証書遺言」の一部にワープロやパソコンによる作成を認めたことからスタートした。ただし、ワープロでの作成が認められたのは、自筆証書遺言に添付する預貯金や不動産、負債など「財産目録」のみ。手書きの煩雑さを少しでも軽減することが狙いだが、いかに今回の改正が、遺言の普及に重きを置いているか分かる。

 そもそも遺言書は、先の自筆証書遺言と「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に大別される。一般的には、遺言書といえば自筆証書遺言か公正証書遺言の二つを指す。

 自筆証書遺言のメリットは、何よりもその手軽さにある。思い立てばいつでも自らの手を動かして紙に書くだけなので、費用も基本的にゼロだ。

 一方、デメリットは、まず自分の死後に遺言書を見つけてもらわなければ、完全に無意味になることが挙げられる。さらに厄介なのが、内容や様式に致命的な不備も多いため、せっかく相続人(財産をもらう人)の手に渡っても無効になったり、新たな「争族」を招いたりする可能性もある。

 また、偽造や改変の恐れがどうしてもついて回るため、その信ぴょう性が法廷で争われることも。さらに自筆遺言は、相続発生後に家庭裁判所で検認を受けなければ有効にならない