改正相続#8
Illustration by Yuuki Nara

相続時に何かとトラブルになるのが、「家」をはじめとする不動産だ。特に自宅はきれいに分割できないため、現金が少ない家庭では「争族」に発展することが多い。 特集『改正相続、もめごと全解決!』第8回では、自宅をはじめとする不動産の特徴について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

現金の少ない人は要注意
自宅の相続がもめやすい理由

 都心郊外で母親の家に家族ごと同居していた小林翔太さん(仮名・62歳)。もとから持病を抱えていた母親が90歳を前についに亡くなり、相続について弟との話し合いをすることになった。

 遺産は、父親の死後、母親の名義となっていた家と土地が4150万円分。さらに預金が450万円ほど。合わせて4600万円だ。

 母親が残した遺言書はない。ただ、常日頃、「何かあったらこの家はあんたにやるから、弟の面倒も見てやってほしい」というのが母の口癖だった。

「これまで病気を抱えた母親の面倒を見てきたのは自分だし、今の家には自分の家族も住んでいる。母も家はくれるって言っていたから、家は自分が継ぐ代わりに預金を全てあげれば弟も納得してくれるだろう」

 小林さんは考えたが、そうは問屋が卸さなかった。

「なんで俺が450万円しかもらえないんだ、不公平じゃないか! 遺言書はないんだろ? だったら、俺だって半分はもらえるはずだ! きっちり2300万円よこせ!」