新型コロナウイルスの世界的大流行によって、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の中核事業が恩恵を受けている。航空・海上輸送の寸断や価格高騰で、鉄道経由の貨物輸送への需要が高まっているためだ。中国が近年復活させた同国と欧州を結ぶ鉄道網は活況となっている。中国の鉄道運営を担当する中国国家鉄路集団によると、4月の輸送回数は976回と、前年同月比47%の大幅増となった。深センの物流会社チャイナトランス・インターナショナルのバイスプレジデント、ジャッキー・ヤン氏は「2月以降、かなり切羽詰まった新規顧客が当社に駆け込んでいる」と話す。同社は中国―欧州間の鉄道輸送枠の予約サービスを提供する。同氏によると、個人用防護具(PPE)の出荷が需要を押し上げている面もあるが、春物衣料を欧州の小売業者に届けるアパレル業者や、ドイツ、オランダの自動車工場に急ぎの注文部品を送る必要のあるサプライヤーなど、コロナで今回初めて鉄道サービスを利用するという顧客も多いという。