専門家会議メンバーではない西浦氏が
コロナ対策「司令塔」のような振る舞い

 それ以降、西浦氏は専門家会議のメンバーではないにもかかわらず、政府のコロナ対策の「司令塔」のような振る舞いをするようになった。4月7日、安倍首相は東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言を発令した。その際、首相は感染者数について「このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1カ月後には8万人を超えることになる」「人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じることができる」と述べた。これは、4月3日の日本経済新聞にも出た西浦氏の試算が基となっている(日本経済新聞『「欧米に近い外出制限を」 西浦博教授が感染者試算 「人の接触を8割減らせれば感染減に」』)

 この試算は「西浦モデル」と呼ばれるようになった。そして4月10日、西浦氏に自信を与える出来事が起きた。「感染者(発症者)全員が等しく感染を広げるのではなく、クラスター化した感染が大規模感染をもたらす」というクラスター班の発見を、WHOが記者会見で称賛したのだ。

 WHOは、大スポンサーである中国に「忖度」する行動を繰り返して新型コロナ感染拡大の事態を悪化させた。また、日本がWHOへの拠出金を増額することを表明すると、途端に日本の新型コロナ対応を称賛するようになった(第236回)。そんなカネに汚いWHOに称賛されても価値はなさそうだが、それでも「西浦モデル」に「権威」を与えることになった。

 4月15日、西浦氏は記者会見を開き、まったく対策をとらない場合、国内の重篤患者が約85万人に達し、その49%(単純計算で41万人超)が死亡するという新たな試算を発表。あらためて、「接触8割減の徹底」を国民に求めた。

 そして、その翌日の4月16日、安倍首相は、緊急事態宣言を全国に拡大する方針を明らかにした。西浦氏はその記者会見にも登場した。その後も西浦氏はSNSを使って、「三密(密閉、密集、密接)の回避」という国民の意識を変える啓蒙活動を続け、テレビ出演も頻繁に行っている。しかし、繰り返すが、西浦氏は専門家会議の委員ではないのだ。