原子力発電所の停止でフル稼働が続く火力発電所の主燃料となるLNG(液化天然ガス)。そのコストは電気料金の値上げ、電力各社の赤字の原因になっているが、中部電力と大阪ガスがLNGの調達で風穴をあけた。天然ガスの大量産出で、ガス価格が大幅に低下している米国での契約にこぎ着けたのだ。

中部電力の新名古屋発電所。中部電は原発比率が低く、LNGの火力が多いのが特徴だ
Photo:JIJI

 6月末、米国ヒューストンのホテルのそばに構えられた弁護士事務所の一室。机を囲んで座った中部電力と大阪ガスの6人の男たちは確かな手応えを感じていた。

「これで展望が開けてきたかもしれない」──。

 6人はここで1週間にわたり、米国産のLNG調達に向けた交渉を続けていた。相手はLNG基地を運営するフリーポート社。中部電と大ガスは4月に交渉権を得ていたが、交渉期限が「異例に短い」(大阪ガス担当者)7月に設定されたため、この時点で条件交渉に一定のメドを付ける必要があった。

 一時は「交渉期限を延期しないと無理だ」(同)との判断も検討されたが、2度と同様のチャンスが訪れない恐れもあった。契約交渉と経営幹部との調整を同時に進める中、今夏、“サプライズ”ともいえる契約を実現することになる。

 契約内容は、フリーポートが建設するLNGの液化加工基地で、2017年から、計440万トンのLNG生産能力を中部電と大ガスが半分ずつ確保するというものだ。これにより、両社は米国で市場に流通している天然ガスを液化し、日本に運んでくることができる。

 LNGは原子力発電所の停止でフル稼働している火力発電所の主燃料で、その価格は電気料金に直接跳ね返る。では、何がサプライズなのか──。

 まず1点目は、天然ガス価格が現状、圧倒的に安い米国から調達するということだ。