「15シナリオ」の2つ考え方
Photo by Masato Kato
私は、エネルギー・環境会議が提示している「ゼロシナリオ」、「15シナリオ」、「20~25シナリオ」という3つのシナリオのうち、2030年度の日本における原子力発電の依存度を15%程度と見込む「15シナリオ」を支持するものである。「15シナリオ」は、次の2つの考え方に立っている。
(1)脱原発依存を明確に打ち出し、空理空論ではない「リアルでポジティブな原発のたたみ方」を追求する。
(2)2030年以降については、現時点で原発依存度を決め打ちせず、1、再生可能エネルギー利用の拡大、2、省エネ・節電の徹底、3、火力発電の低コスト化・ゼロエミッション化、を最大限実行したうえで、1~3が不確実性をもつことをふまえ、将来の世代が改めてあるべき電源構成を決定する。
リアルでポジティブな原発のたたみ方
「15シナリオ」は、「リアルでポジティブな原発のたたみ方」を追求した場合、2030年度の原発存度が15%程度になると見込むものである。「たたみ方」という表現は、すぐにではなくとも、長期的には原子力発電をやめることを意味する。
なぜ、原発停止を前提とするのか。それは、筆者が、使用済み核燃料の処理問題、いわゆる「バックエンド問題」を根本的に解決するのは困難だと考えるからである。