『豊臣兄弟!』第11回より。松永久秀(演:竹中直人) (C)NHK『豊臣兄弟!』第11回より。松永久秀(演:竹中直人) (C)NHK

歴史はエンターテインメント!かしまし歴史チャンネルへようこそ。『豊臣兄弟!』第11回のタイトルは「本圀寺(ほんこくじ)の変」。本圀寺の変とは、将軍となった足利義昭(演:尾上右近)が、京都・本圀寺で三好三人衆に襲撃された事件です。またこの回では、織田信長(演:小栗旬)が、木下藤吉郎/豊臣秀吉(演:池松壮亮)&小一郎/豊臣秀長(演:仲野太賀)兄弟に対し、「堺の商人たちに、矢銭(軍事費)2万貫を納めさせるように」と命じていました。この時、堺の商人たちを兄弟に紹介していたキーマンが、大和を治める武将・松永久秀(演:竹中直人)です。松永久秀は戦国武将の中でも有名な梟雄(きょうゆう)、つまり卓越した能力を持ちながら目的のためなら手段を選ばず、平気で人を裏切る悪人として知られています。今回は史料を元に、彼の犯した「悪事」を検証します。松永久秀は本当に、「戦国時代屈指の大悪人」だったのでしょうか?(かしまし歴史チャンネル/川合章子)

戦国時代 三大梟雄の一人、松永久秀

 戦国武将の中でも、特に悪名で知られる人物の一人が、松永久秀です。官位が弾正少弼であったことから、一般には「松永弾正」と呼ばれることも多く、かつては北条早雲、斎藤道三と並ぶ、戦国時代の「三大梟雄」の一人として語られてきました。

※三大梟雄は、宇喜多直家、斎藤道三、松永久秀の三人とされる場合もあります。

 この悪名を広めた代表的な史料が、江戸中期の儒学者である湯浅常山が著した軍記物『常山紀談』です。

 この本には、織田信長が徳川家康に向かって久秀を紹介する有名なシーンが描かれていて、信長は久秀について、次のように語ったとされています。

「この男は、主君を殺し、将軍を殺し、奈良の大仏を焼いた。常人には1つもできぬ大罪を3つも犯した男である」

 主殺し、将軍殺し、そして奈良の大仏焼失。いずれも当時の価値観からすれば極悪非道の行為です。この軍記物が江戸時代に大流行した結果、松永久秀は「稀代の悪人」というイメージを長く背負うことになったのです。

 しかし近年、一次史料の研究が進むにつれて、この評価は大きく変わりつつあります。

『豊臣兄弟!』第11回より。木下藤吉郎/豊臣秀吉(左、演:池松壮亮)と松永久秀(右) (C)NHK『豊臣兄弟!』第11回より。木下藤吉郎/豊臣秀吉(左、演:池松壮亮)と松永久秀(右) (C)NHK