アメリカのエネルギー源は
「シェールガス」へと急激にシフト
アメリカのShale Gas(以下、シェールガス)が最近、日本のテレビや新聞で取り上げられる機会が多い。シェールガスは地中に堆積した頁岩(けつがん)に含まれる天然ガスだ。最近になって採取に関する技術革新が飛躍的に進み、市場価格が数年前の3分の1程度までに下がってきた。
そうしたなか、オバマ政権はエネルギー安全保障の面から、国内外からの原油依存を減らし、天然ガスの自国生産拡大へと大きく舵を切っている。2012年4月13日には、「Unconventional natural gas resources(非在来型天然ガス)」に関する大統領令を発令している。
また、同国での天然ガス資源の種類とその動向については、1月13日に米DOE(エネルギー省)管轄のEIA(エネルギー情報庁)がデータを公開している。それによると、今後はシェールガスの依存度が急激に増え、2035年には同国の天然ガス需要全体の49%に達すると予測している(右図)。
シェールガスは、北米大陸の各地で地表から比較的浅い断層から採取される。その断層に対して、高水圧の溶剤を噴射する等の方法で天然ガスを取り出す。こうした水圧破砕法に関して同年5月4日、米連邦政府として初めての規制案(現在、Public Comment実施期間中)を公開した。「同案の最終的内容や実施時期、さらにはEPA(米環境保護庁)によるシェールガス開発が環境に与える影響の評価に関する中間報告に業界は注目している」(日系の天然ガス関連業関係者)という。
また天然ガスを燃料とする天然ガス車についても、オバマ政権は新しい政策を打ち出した。これは同年3月7日に発表された「National Community Deployment Challenge」だ。総予算を約800億円とし、全米10から15の都市でEV(電気自動車)と天然ガス車向けのインフラ整備を行う。さらにこれら代替燃料車の購入に対する補助金も交付する。