死亡者数は少ないが
明確な答えは出ない

 その結果が表3である。サンプル数が少ないのであくまで検討したというレベルに留まるが、PCR検査数の変化を勘案しても「特定の傾向は見られない」という結論である。

感染者数変化
拡大画像表示 ※日本とインドネシアは6週間経過していないので、ほぼ6週間目の5月14日のデータ   出所:WHOと筆者調べ  

 検査数が少ないためか、ベトナムとインドネシアにおいてロックダウンの効果がはっきりしない。通常はロックダウンの効果は発令2週間以降あたりで見られ、起点から2週目に比べれば2週目から4週目、4週目から6週目の方が増加率は減る。しかし、この両国では2週目から4週目よりも4週目から6週目の方が、感染者数が横ばいあるいは増加していた。これはロックダウンの効果がなかったか、検査が適切ではなかった可能性を示唆する。

 これは他の国と全く違う動きであるし、ロックダウンの効果がないということはあり得ないので、おそらく検査数が少ないと正確な結果が出ないということを示しているのだろう。またフィリピンやインドのように人口が多い国では、ロックダウン後6週間の感染者数の増加が著しかった。これも国全体で検査の仕組みが成立していなかった、あるいはロックダウン前にしっかりとした検査がされていなかったためだと思われる。

 それに比べると、日本は検査数が少ない割にコントロールされており、これは有症状者に絞って検査を的確に行っていたからだと思われる。また、筆者が、ダイヤモンド・オンラインの以前の記事『外務省のコロナ対策「海外渡航の自粛要請」を甘くみてはいけない理由』でコメントしたように、医療レベルが低い新興国ではコロナ感染による死亡者が正確に把握されていない可能性もある。

 しかし、検査数が少ないと明確な答えが出ないことは間違いない。そして、現状では「東南アジアは高温多湿であるがゆえにウイルスが感染力を落としている」という証拠は、残念ながら見つけられなかった。

 となると、われわれは、感染者数が減ってきているという現状に安心せずに、「3密」を避けて行動するなどの「警戒と自粛の心を持ち続けることが必要」ということになるのではなかろうか。