ソーシャルメディアで変わる援助交際、そして「援デリ」の登場

「援デリ始めたんです」

 赤坂からそう聞いたのは2年ほど前。知人の紹介で彼と知り合ったばかりの頃だった。「援デリ」とは「援助交際デリバリーヘルス」の略語だという。

 奇妙な言葉だと思った。90年代前半に表面化して社会に衝撃を与え、形式や規模を変えながら現在も続いている、女子中高生が自分のための小遣いを稼ぐ「援助交際」。そして、事業として女性を性風俗へと派遣する「デリヘル(デリバリーヘルス)」。どちらも性を売り物にしているという点で共通するが、一方は「素人」によるいわば個人事業で、もう一方は「プロ」による組織的な商売である。

 援助交際をデリバリーする。交差する余地などないと思われる2つの「産業」が組み合わさっている。矛盾しているようにも思えるが、どういうことなのだろうか。

「子どもが携帯持つような時代になってから、援助交際する高校生とかは、インターネットの掲示板やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って客を取っている。4万で援助交際したければ『渋谷にいる高1のユカです。今日4でサポしてくれる人いませんか?』とかメアドと一緒に書くと、バンバン連絡きた。それで、これを組織的にやればビジネスになると、若い不良がシノギにし始めたんです」

「まず、女のコを集めるんです。援助交際している女のコが見ているようなサイトに『1日3万円以上稼げる仕事紹介します!』みたいに書き込む。それで、連絡がきたら『そうやって掲示板で営業しなくてもこっちで安定して客をつけて稼げるようにしてあげるよ。それに、援助交際、客とトラブったり、金払わないで逃げられたりして大変でしょ? 守ってあげるよ』って言いながら、『派遣要員』のリストをつくっていくんです」

「女のコを集めたら、ネット上に『サクラ』で援助交際を誘う書き込みをしまくる。どこで、いくらでサポしてくれる人いないかと。ネット上だから、それを見て連絡してくる男には相手が本当に女子高生かなんて分からない。SNSとかTwitterとかが色々出てきてからは、結構手が込んだ『ダミー』をつくることもできるじゃないですか」

「女子高生っぽい写真を自分のページに設定して、プロフィールも『渋谷で遊ぶのがスキ』とか適当に書いて、日記とか写真もアップして偽装する。さらにダミーの友達もつくって、サクラしかいない女子高生グループをつくったりもする。そこで援助交際ほのめかしたりしながら、メールのやり取りしたりもする」