デリヘルのインフラ「ワゴン方式」を「援デリ」に流用
赤坂が「援デリ始めたんです」と言っていた頃は、すでにそういった創業ブームは終わりを迎えていた時期だったようだ。先述の男子高校生が逮捕された事例をはじめ、いくつかの「援デリ業者」に対する摘発も始まっていた。
「要するに、素人が手を出しても所詮どこかでボロが出る。素人が動いても、足がつきやすいんです。ギリギリのところでかわす警戒心も知恵もない。客の集め方の工夫、女のコの管理。そこは最低限抑えないと必ず警察にいかれる(摘発される)」
こう語る赤坂は、都内有数のデリヘル業者Aと連携したうえで「援デリ」事業への参入を決めた。隣接事業の「プロとして蓄えてきた知識と経験があれば負けない」という確信があったからだ。
「援デリ業者もすでにたくさんいましたからね。何をやったかって一言で言うと、もともとやっていたデリヘルの仕組みとノウハウを使い回していった。『仕組みづくり』と『管理の徹底』です」
「例えば、最近は一般的だけど、Aは女のコの待機所を持たない『ワゴン方式』でデリをやってる。デリヘルって、『女のコが待機する所があって、そこから派遣されてる』っていうイメージがある人もいると思うけど、今は『待機所方式』は少ない。形だけの待機所には内勤の電話受付のスタッフだけが詰めていて、女のコはこちらが用意したワゴン車に乗せておいて、出勤から帰宅まで全部やる」
「デリはスピード命。常に、女のコを乗せているワゴンが数台体制で都内をグルグル回っていて、客が入ったら事務所の内勤スタッフが客の一番近くにいるワゴンの女のコを手配する。そうすると、効率的に客の要望に対応できるから回転率が上げられるし、女のコの時間だけじゃなくて生活全般を管理しやすい」
「デリヘルのこの仕組みって、そのまま援デリに使うと効率がいい。援デリに使える女のコが入ったら、ほかのデリ嬢と一緒にそのワゴンに乗せちゃう。客がついたら、客が指定した場所の近くまでワゴンで送る。ワゴンから降りているところを客に見られたりしたら、『お前デリヘルか? 素人じゃなかったのか!』って客は怒っちゃいますから、そこは注意して。だから、女のコには、事務的にではなく自然に振舞うように指導しておく。あとは、終った後に迎えにいって“あがり”をもらうだけ」
「出会い系とかネットの掲示板への書き込みも、事務所に詰めて客からの電話待っている内勤スタッフが空いた時間にやってるから効率がいい。もちろん、警察にばれにくく、なおかつ客からの反応がいい書き方の工夫が必要だから、こっちでマニュアルをつくって読ませてる」