「純粋無垢な未成年の素人」が高付加価値商品に

「明るいコがいい」「清楚なコを」「意外と知的な面もあるんだ」「普段から友だちとこんな遊びをしているのかな」……。情報を「見られる側(=女のコ)」の印象を自由に操作できるソーシャルメディアを活用して、情報を「見る側(=客)」の欲望を忠実に再現する。今は、自動的に日記を更新することができるプログラムもあり、客との具体的なやり取りは「バイト君にマニュアル覚えさせてやらせればいい」という。

「乗り気の男から連絡があったら、確保していた女のコを客のところに行かせるわけです。女のコからは売上の半分をもらう」

 かくして、「援助交際」という「18歳未満の素人=高付加価値商品」を派遣する事業が成立しているのだ。

 2010年、現役男子高校生が都内で「援デリ」を営んだとして、警視庁少年育成課に児童福祉法違反および売春防止法違反で逮捕される事件が発生した。

 この男子高校生は、山口県内の進学校を中退した後、通信制私立高校に転校。その後、上京した時に「援デリ」のビジネスモデルを雑誌で知り、ネットカフェを転々としながら、パソコン・携帯電話を駆使して1年で1000万円稼いだという。

 赤坂は「女のコのレベルにもよるけど、値段は1回3~4万円の間くらい。普通のデリヘルの倍ぐらいの売上になる」と続けた。

「『ミテコ(身分証を提示できない18歳未満の女性)』が稼ぎたいと思って飲み屋行っても風俗行っても、ばれたら店の側がパクられるから門前払い。コンビニとか飲食店で働くのもたかが知れているわけじゃないですか。だから、携帯でネットに書き込んで客集める」

「でも、それも警察の規制が入ったりして結構コツがいるんですよ。援助交際だとわからないように隠語使うだけじゃなく、小まめに知恵絞って作業しないと。1回の単価が大きくても、全体の稼ぎはたいしたことないではダメ。うまく客取ったと思ったら、カネ払わないで力づくで逃げられたりとかもある。じゃあ、そこら辺のリスクをどうにかしなくちゃって援デリに来るんです」

「援デリ使ってる客からしたらね、『本番ヤれる』だけじゃなくて『未成年とヤれる』『素人とヤれる』『もしかしたら普通に仲良くなれちゃうかも』とさ。そこらで堂々とやっている店に行ってもミテコには触れないし、『相手もプロだから』って客が一歩引いちゃうところがある。こういうのは合法風俗では満たされない欲を拾い上げるわけですよ。『純粋無垢な未成年の素人』と本番して、もしかしたら付き合えちゃうかもしれない。そりゃ、そこらの風俗よりちょっとくらい高くても、カネを払う人間はいくらでもいる」

「運営側は運営側で、別に店舗構えたり、届けを出したりする必要もない。まだ、競争も激しくないなかでは、そんなに手間やカネもかけずに始められる。それで盛り上がってきたんですよ」

 規制が欲望を細分化し、潜在化させる。そして、その欲望が社会に市場のすき間を生み出し、新たな事業が誕生する。