さらに事態が悪化すると、倒産の増加によって銀行決算が赤字に陥り、銀行の自己資本が減少し、銀行が貸し渋りを余儀なくされるかもしれず、それが景気をさらに悪化させるという事態に陥ってしまう。

 銀行は自己資本比率規制を課されており、大ざっぱに言えば自己資本の12.5倍までしか貸し出しをすることができない。そこで、自己資本が減少すると貸して良い金額の上限が下がってしまうのである。

 したがって、政府は企業の倒産を防止するために、資金繰り支援や景気対策などに注力することが求められる。特に今次局面では、飲食業や観光産業等々の需要の戻りが鈍いと懸念されるので、資金繰り支援が強く求められるわけである。

再建困難企業にも支援すべき

 企業の資金繰りを支援すれば、多くの企業が生き延びて、新型コロナの終息後には再び元気になるであろう。それこそ政府が望むところである。

 しかし、中には再建が困難な企業もありそうだ。非効率な経営をしていて、新型コロナ前から赤字だったような企業は、新型コロナが終息しても黒字に戻るとは考えにくく、いつか破綻することが容易に予想されているはずだ。

 そうした企業も支援すべきなのだろうか。筆者の考えは、イエスである。理由は2つある。1つは、支援対象先の選別に時間がかかると、助かるべき企業が助からなくなるので、「とにかく困っている企業は全部支援する」と決めることが必要だ。

 もう1つは、いずれ倒産することが確実であっても、現在の不況期において雇用を吸収してくれている企業はありがたい存在だということである。したがって、そうした企業であっても、少なくとも不況の間は大事にすべきなのである。

 どうせ倒産するにしても、不況期に倒産して上記のような悪循環を加速させるのと、将来の好景気の時に倒産して労働力不足の緩和に役立つのでは、天と地の違いがある。したがって、少なくとも景気が回復するまでは、支援する意味が十分にあるのだ。

 加えて、その企業がまだ使える設備機械を持っているならば、それをスクラップしてしまう前にしっかり使って生産活動を行うことも、日本経済の役に立つだろう。