コロナショックで
日本でも雇用情勢は急速に悪化
米国では、4月の非農業部門の就業者数(季節調整値)が前月比で2,050万人も減少し、失業率は前月の4.4%から一気に14.7%まで上昇している。いずれも、第2次世界大戦以降で最悪の数字である。これらは、コロナショックを受けた経済の悪化の程度が、世界恐慌以来であることを裏付けている。
日本では、失業率が2桁まで上昇することは考えにくい。米国と比べると法制面、慣行面などから、日本で失業者が増えにくい構造であるためだ。そのため、深刻な経済危機の下でも、日本では社会の安定が比較的維持されやすい。
ただし、米国ほどではないが、この先、日本の雇用情勢も急速に悪化して行くことは避けられない。
失業者は265万人増加、
失業率は6.1%と戦後最悪に
そこで以下では、先行きの日本の失業者増加数と失業率を予測してみたい。その際に参考とするのは、2008年9月のリーマンショック後の雇用情勢だ。翌年の2009年7月には、失業率は5.5%と戦後最高水準にまで達したのである。
リーマンショック後には、実質GDPはそれ以前の水準から8.6%下落した。一方この時期に、就業者数は196.9万人、2.9%減少している。実質GDPの変化率に対する就業者数の変化率を示す弾性値は、0.34である。景気の悪化に対して、企業はその3分の1程度の雇用調整を実施したことになる。
他方、今回の景気の悪化は、リーマンショック時を上回る可能性が高い。筆者の見通しでは、実質GDPは2019年7-9月期のピークから11.6%下落する。これは、リーマンショック後の景気の落ち込み幅の約1.3倍である。
リーマンショック後と同様に就業者数の弾性値を0.34とすると、労働者265万人が職を失う計算となる。その場合、失業率はピークで6.1%に達する。失業率は戦後初めて6%台に乗せるのだ。