コロナ禍により、暫定的措置として初診でのオンライン診療が可能になり、各医療機関でオンライン診療が実施されるケースが増えてきた。実際に受診する人も増えており、今後普及する可能性も高い。その半面、オンライン診療の進展は世界の流れだが、ややガラパゴス化している日本医療には、オンライン診療が「諸刃(もろは)の剣」になり得る可能性が高い。その理由について、医師(日本内科学会総合内科専門医)であり、かつビジネススクールで医療経営を教える筆者が解説する。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師 真野俊樹)
オンライン診療は
「諸刃の剣」になり得る
日本においてオンライン診療の話題が、にわかに取り上げられるようになってきた。これは、「ウィズコロナ」の社会あるいは「ポストコロナ」の社会を見据えて、国全体のあり方がリアルな接点だけでなくバーチャル、つまりオンラインでの接点を求める社会に変わっていくという流れがあるからであろう。
ただ、筆者はオンライン診療が進むことは間違いないが、日本の医療にとって諸刃の剣だと考えている。ちなみに筆者は医療界において改革を進めていくべきであるという立場にあって、前回(「コロナ終息後、オンラインの診療・健康相談で日本の医療の景色が変わる」)もオンライン診療やオンライン健康相談について書かせていただいた。