これでは、エシカルプロジェクトもしょせん、nanaco会員の獲得のためという不純な狙いを疑われても仕方あるまい。

エシカルは順調でも削減額は
数万円程度、見切り販売とは大差

 もともと一部の加盟店ではエシカルプロジェクトの始まる前から、販売期限の迫った商品をオーナーの判断で2~3割値引きする「見切り販売」を行い、廃棄負担を大幅に減らしてきた。

 本部は表向き、見切り販売を容認しているとアナウンスする裏で、加盟店に対しあの手この手を使って見切り販売をしないよう圧力をかけているため、実際に行っている加盟店は少ない。

 見切り販売を行っているセブン加盟店オーナーは、エシカルプロジェクトについて「5%の還元率は低い上、nanaco会員にしか恩恵がない。2~3割値引きした方がはるかに売れやすく、廃棄ロスの削減効果が大きい」と指摘。見切り販売によって、月の廃棄額は平均60万円に対し、数万円程度となっていると説明する。

 また複数のオーナーによれば、エシカルプロジェクトによって廃棄を削減できた額が数万円程度になるケースがある一方で、非nanaco会員の客が、エシカルプロジェクトのシールが貼られた商品を避けて購入するため、かえって売れ残る商品が増えたという事例もあると訴える声がある。

 井阪社長らセブン&アイ・HD幹部は公の場に出る際、常にジャケットの襟にSDGs(飢餓をなくすなど地球環境の改善を目指す世界的な目標)のバッジを輝かせている。自社の振る舞いを顧みるとき、一体どのような心境に至るのだろうか。