今年の株主総会で、本部社員の無断発注を告発されたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)。コロナ禍の中、廃棄ロス削減を目指す「エシカルプロジェクト」を始めたものの、加盟店からは廃棄が増える逆効果を指摘する声も上がっている。本部のエシカル(倫理的)な言い分と実態との乖離は広がるばかりだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
株主総会で加盟店の告発退け怒号
ビジネス客激減で危機に陥る店舗も
株主が質問する際に使うマスクにはカバーを装着、しかも、質問の度にカバーを取り換える――。
5月28日、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)を傘下に擁するセブン&アイ・ホールディングス(HD)の株主総会。新型コロナウイルス感染予防のため、総会の会場となった東京都千代田区の本社への来場を控えるよう株主に訴えるなど、厳戒態勢で行われた。
報道機関は毎年、別室でライブ動画を取材できるが、今年は感染予防を理由に実施されなかった。
経営陣が恐れていたのはウイルスだけではない。毎年、株式を持つSEJ加盟店オーナーが、本部の仕打ちで売り上げが大きく減ったなどの告発をすることが総会の“恒例行事”なのだ。
今年も加盟店オーナーとみられる株主が、「先月、私の店で本部社員による商品の無断発注をされた」と訴え、HDの井阪隆一社長とSEJの永松文彦社長の解任を要求。議長を務めた井阪社長が「(会社側提出議案への)修正動議として後ほど一括審議する」と取り合わなかったため、他の株主からも怒号が飛び交う場面があった。
新型コロナはSEJに限らずコンビニの現場に大きな打撃を与えている。都市部ではビジネス客の減少で売り上げが激減した加盟店が危機に陥っている。また従業員の感染予防への対応も求められ、現場の負担は増すばかりだ。
こうしたコロナ禍の環境下で、SEJが始めた新たな取り組みで、現場に徒労感が漂っている。