新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が出た翌日、減収となる店舗が急増しているとして、セブン-イレブン・ジャパンは5000店超の家賃の減額を地主に要請した。新型コロナを理由にした家賃の減額要請について、ファミリーマートは「行っていない」、ローソンは「入居施設の閉鎖で閉店した200店で要請した」としており、セブンの行動は際立っている。ただ、賃料の減額は加盟店の直接の負担軽減にはつながらず、このままでは単なる本部の利益確保で終わることになる。特集『日本企業、緊急事態宣言』の#19では、未曽有の感染症に見舞われる中で自己保身に走るコンビニの“帝王”の姿の一端を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
ライフ、イオンは従業員給与上乗せで称賛
セブンは地主に文書を出し“支援”を要請
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、スーパーやコンビニエンスストアは生活インフラとしてフル稼働している。支えているのは、不特定多数の客と接する感染リスクを負いながらも店頭に立つ現場の努力だ。外出自粛やマスク不足により、ストレスを抱えた客から理不尽なクレームを受けることも少なくない。
食品スーパーのライフコーポレーションは、接客などで従業員の負担が大きくなっているとして、全従業員約4万人の4月給与に、合計約3億円の「緊急特別感謝金」を上乗せして支給することを決めた。ライフのこの決定はインターネットやSNSで称賛され、イオンも緊急事態宣言が最初に出された7都府県のパート従業員に一律1万円を支給するなど同調する動きが出た。
緊急事態への対処に各社が頭を悩ます中、コンビニ業界の王者セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)も“負担軽減”のために動きだした。ただ、軽減する負担は現場よりも本部を優先するようだ。