投資信託の中身は、どうなっているのか?

 投信に組み入れられる主な資産には、株式と債券があります(図1-2)。

少ない金額でも世界中の株式や債券などに幅広く分散投資できるのが、投資信託の魅力

 資産運用の中心となるのは、やはり株式です。株式投資では、投資家は企業が発行する株式を買います。

 企業は投資された資金を使い、設備や事業などに投資して成長を目指します。企業が成長し株価が上昇すれば、投資家は値上がり益を得られるほか、保有する株式に応じて配当金が支払われ、利益が還元されることもあります。

 債券は、世界への投資を考えていくうえでは重要な役割を持つ資産です。国や地方公共団体、企業などが投資家から資金を調達するために発行する有価証券で、国が発行するものは「国債」、企業が発行するものは「社債」といいます。

 債券は利率、利払い日、満期日が決められており、投資家は定期的に決められた利子をもらえるほか、満期時には額面金額を受け取れる仕組みです。債券も市場で取引されており、金利動向などにより価格が変動します。

 このほか、投信に組み入れられる資産として知っておきたいものに「REIT(リート)(不動産投資信託)」があります(図1-3)。不動産を買うのは多額の資金が必要なうえ、物件の目利き力、不動産市場の動向などの情報収集も求められます。物件を購入すれば運営の手間もかかり、簡単とはいえません。

 そこで、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設など複数の不動産を買って運用し、賃貸収入や売買益を投資家に分配するのがREITです。

 少額から購入可能で、不動産への投資を身近にする金融商品といえます。

少ない金額でも世界中の株式や債券などに幅広く分散投資できるのが、投資信託の魅力
朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『「つみたてNISA」はこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)など多数。