韓国経済の弱点は金融

 韓国の通貨ウォンは国際通貨ではなく、このことが韓国の銀行のドル調達に不利な立場を強いてきた。このため、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の時代から、ソウルを「北東アジアの金融ハブ」にしようと取り組んできた。

 しかし、文政権はこうした努力を台無しにしている。ソウルは英調査機関が公表している金融センターの国際的競争力の指標である「国際金融センター指数」で、08年の53位から15年には6位まで順位を上げていた。しかし、文大統領が就任してから順位は再び低下し昨年は36位、今年は33位と、「北東アジアの金融ハブ」という夢は遠ざかるばかりである。

 折しも中国が香港国家保安法を制定し、香港の「一国二制度」を事実上反故にしようとする動きに対して、米国を中心に批判が高まって対立が深まり、米ニューヨーク、英ロンドンと並ぶ世界3大金融センターの一角である香港の地位が大きく揺らいでいる。どこが香港に取って代わるかに関心が集まっており、シンガポールや上海、東京などが争っているが、ソウルは候補にすら上がっていない。

 それだけ、文政権になってからの韓国経済の世界経済における位置づけが低くなっているということだろう。JPモルガンやバークレイズ、UBSなどの外資系投資銀行が相次いで韓国から撤退したことも、そうした事情を反映している。韓国で事業を継続している外資系金融機関も従業員数や事業規模を縮小しているところが多い。

 韓国のウォン安が進むとウォン投げ売りのリスクが高まる。新型コロナによるウォン安進行の際には、米連邦準備制度理事会(FRB)が通貨スワップに応じたことから事なきを得たが、次にウォン安が進行した時に、文政権は対応する術を持っているのだろうか。

コロナ封じ込めの成果を外交に生かしていない

 文政権の政策について最初の2年間の国際的評価は低かった。しかし、欧米が苦しむ中、新型コロナを封じ込めたことで、その評価が著しく高まっている。5月にオンラインで行われたWHO総会では、テドロス事務局長から要請されて文大統領が基調演説を行った。

 また、9月に行われるG7サミットではロシアとオーストラリア、インドの首脳とともに招待された。韓国国内では、これは李明博元大統領時代にG20のメンバーとなったことを超える功績であり、国格を高めるものだと歓迎する論調が目立っている。韓国は常に日本を意識しているので、日本と同格になったと自尊心をくすぐられたのであろう。

 しかし、韓国がこうした国際舞台で先進国としての役割を果たせる準備ができているかが問題である。