従業員を「さん付け」で呼ぶ理由

宗次:山下さんを見て「気の毒だな」と思うことがあります。それは、「かっこよすぎる」ことです(笑)。ファッション業界にいるわけですからかっこよく見せなければいけないとはいえ、その出で立ちだとモテてしまうでしょう?

山下:そんなことはありません。宗次さんのほうがモテるのでは?

宗次:モテないですよ。私は不器用だしきらびやかな場所は苦手だから。
私は、着飾ったりすることに興味がありません。時計は7800円でいいし、シャツは980円でいい。安いものを身につけるほうが、ありのままの自分でいられます。「良く見せよう」とするのは、私にとっては「ウソ」をつくことと同じです。高価なものに使うお金があるのなら、お客様や従業員のために使ったほうがいい。

山下:宗次さんはとても自然体で、なおかつ、人に対して丁寧な方だと思います。社員に対しても「社員さん」と「さん付け」で呼んでいたり、言葉の端々に相手への敬意が感じられます。

宗次:経営者も従業員も、対等ですからね。「お客さん」という言い方もしません。「お客様」です。
とくに職位が上になるとおろそかにしがちですが、誰に対しても感謝の気持ちを持つことは、やはり大切なことです。

(第5回に続く)