Photo: Adobe Stock
パワーポイントでプレゼン資料をつくるのに時間がとられる……。
そんな悩みを抱えているビジネスパーソンが増えています。そこで、ソフトバンク在籍時に、最速で「一発OK」を勝ち取るプレゼン資料をつくるノウハウを磨き上げた前田鎌利さんにまとめていただいたのが、『パワーポイント最速仕事術』（ダイヤモンド社）です。
「パワーポイント最速仕事術」のポイントは2つ。
まず、「優れたスライドの型」を把握することです。見た瞬間に内容が理解できるスライドには、「テキスト」「図形」「グラフ」「画像」「アニメーション」などの「型」があります。その「スライドの型」をゴールにすれば、いちいち「どのようなスライドにしようか？」と悩む必要がありません。
次に、その「スライドの型」を最速でつくるパワーポイントの操作法をマスターすることです。パワポには多くの機能がありますが、「スライドの型」をつくるために必要な機能はごくごく限られています。その限られた機能をマスターするだけで、「一発OK」がとれる優れたプレゼン資料があっという間に出来上がるのです。
そして、『パワーポイント最速仕事術』では、「スライドの型」と「その型をつくるためのパワーポイントの操作法」を、ビジュアル満載で紹介しています。本連載では、その一部を抜粋しながら、優れたプレゼン資料を「最速」でつくるノウハウを解説してまいります。
早速ですが、下図をご覧ください。
これは、ある会社の「東日本事業所」の組織図を示すスライドです。プレゼン・スライドは横長の形状ですから、このように「左から右」に階層を流すことで、スライド全面を使って大きく表示することができます。
また、スライドを見る人の目線は「左から右」に動きますから、その流れに沿って、上位階層から下位階層へ「左から右」に配置すると、理解しやすいスライドになります。
「階層フローチャート」を効率的につくるコツは、要素の多い最下層のオブジェクトからつくり始めることです。最上位のオブジェクトから着手しがちですが、オブジェクトの位置関係が把握しづらいため、非効率になりがちです。
上図のスライドであれば、最初に最下層の4つのオブジェクトの位置を決めておけば、中位階層の「製造部」のオブジェクトは、「製造一課」と「製造二課」の中間におけばいいので、配置場所を確定しやすいわけです。
では、早速、つくっていきましょう。
【手順1】製造一課」のオブジェクトを作成し、グループ化する。それを3つ複製し、「始点」「終点」の位置を決める。
「製造一課」のオブジェクトを作成。グループ化したうえでコピペ。1のラインで「始点」と「終点」のオブジェクトを揃える。拡大画像表示
【手順2】[Ctrl＋A］ですべてのオブジェクトを選択したうえで、［ホーム＞配置＞配置＞上下に整列］をクリックする。
[Ctrl＋A]でオブジェクトを全選択したうえで、[1 ホーム＞2 配置＞3 配置＞4 上下に整列]をクリックする。拡大画像表示
【手順3】続けて、［ホーム＞配置＞配置＞左揃え（右揃え）］をクリック。整列したら、テキストボックスを書き換える。
[1 ホーム＞2 配置＞3 配置＞4 左揃え（右揃え）]をクリック。整列後、テキストボックスを書き換える。拡大画像表示
【手順4】「中位階層→上位階層」の順番で、オブジェクトを作成し、スマートガイドを参照しながら、綺麗に並べる。
「製造一課」のオブジェクトのコピペを書き換えて、中位階層のオブジェクトを作成・配置。最後に上位階層のオブジェクトを作成。全体のバランスを調整する。拡大画像表示
なお、中位階層のオブジェクトを作成するときは、「製造一課」のオブジェクトをコピペしたうえで、「製造部」「営業部」とテキストを書き換えると効率的です。そして、「製造部」は「製造一課」と「製造二課」の中央、「営業部」は「営業一課」と「営業二課」の中央に手作業で移動させるのがはやいでしょう。
オブジェクトがバランスよく配置されたら、それぞれを「コネクタ」でつなぎ、「スライドタイトル」を入力したら完成です。
【手順5】［ホーム＞図形］で「カギ線コネクタ」を選択する。
[1 ホーム＞2 図形]で「カギ線コネクタ」を選択する。拡大画像表示
【手順6】「カギ線コネクタ」の描画を始める。
1の接続ポイントを起点にドラッグで「カギ線コネクタ」の描画を開始。拡大画像表示
【手順7】「製造一課」の接続ポイントまで「カギ線コネクタ」を引っ張り、ドラッグを終える（図16-8）。描画されたコネクタのカラーを、［ホーム＞図形の枠線］で黒に変える。以下、同じ要領で、すべての「コネクタ」を挿入すれば完成。
1の接続ポイントを終点にドラッグを終え、「カギ線コネクタ」を描画。コネクタのカラーを黒に変更。同じ要領で、すべてのコネクタを描画する。拡大画像表示
【連載バックナンバー】
■相手の心を動かす「白抜きスライド」という手法
■わかりやすいプレゼン資料をつくる「グレーアウト」という技術とは？
■「プレゼン資料のプロ」が、キーメッセージを“やや上”に置く理由
■パワーポイントで初期設定されている「フォント」を「プロ」が絶対に使わない理由
■「プレゼン資料のプロ」が、パワーポイントを立ち上げて最初にする「意外なこと」とは？
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社（現ソフトバンク株式会社）と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師（プレゼンテーション）として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』（ダイヤモンド社）を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
2016年株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業者、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。プレゼンテーション協会代表理事、サイバー大学客員講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授なども務める。
