「どうやって美しさを保つ?」「50代で結婚できる?」「年老いた親をどうする?」「50代で仕事を失ったら」「大人であることのメリット」……など、大人の女性のリアルを綴ってフランスで大人気となったブログを元に生まれた書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』が、6月3日に発売。化粧品とテクノロジーの進化により、母親世代よりもずっと若く美しくなった今の女性たちですが、アクティブに人生を楽しんでいるように見えて、「みんな言わないけど、本当はどうしてるの?」「これって私だけ?」と密かに気になっていることがたくさんあるはず。この連載では、誰も教えてくれないリアルな恋愛事情と、大人としてのお作法について、著者の体験をもとに紹介していきます。

独り暮らしの50代、その心の内Photo: Adobe Stock

独り暮らしの50代、その心の内

50代で独り暮らしになったなら、新しい孤独をよく生きるだけ。こうなると思っていなかった人たちは、年をとってからの独り身に欠点ばかりを見つけ出す。長所に気づくのは、ずっとあとになってから。

聞きたがり屋がいたら、大きな声で高らかにこう言おう。独り暮らしは素晴らしい!と。
「何よりも自由で気分がいいわ。新しく買ったベッドと生活を、四六時中誰かと分け合いたいなんて、もう何があっても思わない。絶対に嫌よ!」と言ったあとで、こう付け加える。「そう、もうたくさんなのよ!」と。

たいていの場合、これは嘘。どうして? こんなにも激賞される自由の裏には、ひそかな願いが隠されているから。軽蔑(けいべつ)していると見せかけながら、本当はあなたが欲しくてたまらないもの、それは、二人の生活、二人で借りるアパルトマン、二人で使う洗濯かご、二人あての招待状……。そんなもの金輪際(こんりんざい)欲しくないわ、と言い切れる? 言えたとしたら、それはたぶん「ポーズ」。

なぜならこの先、気になる男性に出会ったら、きっとあなたは気が滅入りそうな日曜日の夕方、一皿のパスタと一杯のシャルドネのワインを彼と分け合うだろうから。あのときふきんに包んで埋めた深く傷ついた心を、どうしていま、掘り起こさないの?

いい男はどこ? ショップで探せばいいの?

気持ちがひどく落ち込むと、こんな計算をしてしまう。

男たちが泳ぐ生け簀(す)から、〈結婚している男性、若い女の子と再婚している男性、男が好きな男性、離婚して完全に冷めてしまった男性、宗教にはまっている男性、母親しか愛せない男性、不能になって、それを知られたくない男性、トランスジェンダーの男性〉を引いたら、〈感じがよくて、独身の50代の若き女性たちのための男性〉は何人残る?

足りないならば、盗まなくてはいけない? ほかのカップルの破局を願う? 魔法を習うべき? それとも、一番いいのは孤独のままでいること?

今回は女性が年上の場合の大人の恋愛について、エピソードの一部をご紹介しました。ミレーヌ・デクロー著・吉田良子訳の書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』では、ほかにも著者や友人たちの実体験や、大人ならではのパートナー選びのコツについて、フランス人ならではのウィットに富んだ視点を、クスっと笑えるエピソードとともに多数紹介しています。