電光石火で現地の病院との提携をまとめ、ホームページを立ち上げた。だが予想外の問い合わせが相次ぐ。それは「性別適合手術はできるか?」という問い合わせだった。坂田は戸惑いながらも、性同一性障害の人たちの言葉に耳を傾け、自らも性別適合手術について調べた。そして文字通り手探りで現在のアテンド業のスタイルを作り上げて行くのである。

日本では毎年1000人近くが法的性別を変更
性別適合手術はおおきく2つにわけられる

 日本では2004年から手術を受けるなどの条件を満たせば戸籍上の性別を変更できるようになり、近年は毎年1000人近くが法的性別を変更しているという。男性器から女性器に変える手術では、渡航費や宿泊費とパックで100万円程度がかかる。女性が子宮や卵巣を摘出し、最終的に陰茎まで形成するとなると3回の渡航が必要で、計300~400万ほどかかるという。

 アテンド業者は旅行会社や現地の病院と連携し、渡航から帰国までをサポートして仲介料を取ることで利益を得る。坂田のように2000年代初めに参入し、試行錯誤でサービスを作り上げてきた「第一世代」の他に、現在では手術を経験した当事者が立ち上げた「第二世代」の業者も加わり、ビジネスの規模はより大きくなっているという。著者は彼らへのインタビューをもとに、アテンド業の実態を明らかにしていく。サービスのあり方や顧客への向き合い方などでスタンスの違いはあれど、彼らの仕事に対する姿勢は、怪しさとは対極にあるものだ。もちろんどの業界にも言えることだが、信用できない業者もいる。本書はそうした実態を余すところなく描いている。

 ところで、性別適合手術はおおきく2つに分けられる。