首相の安倍晋三(中央)に続いて自民党本部に入る首相補佐官の今井尚哉(右)。安倍政権は安倍以外の閣僚の存在感が薄く、安倍の側近グループによる「お友達内閣」の様相を濃くしている Photo:JIJI

 新型コロナウイルスは地球規模でさまざまな形で深刻な影を落とす。長く国際政治・経済を見てきた専門家は「現代社会が経験したことのないクライシス(危機)になるかもしれない」との見方を示す。確かに東京都内で視界に飛び込んでくる光景からも異常事態が進行中であることは一目瞭然だ。通行人の姿がまばらな商店街、空席が目立つ飲食店、プロ野球の開幕延期……。日本経済が急降下中であることが肌で感じられる。

 米ニューヨーク市場に端を発した世界同時株安の衝撃はさらに事態の深刻さを増幅させた。9日(現地時間)のニューヨーク市場では一時的に下げ幅が2000ドルを超え、株価が急変動した際に取引を一時中断させる「サーキットブレーカー」が初めて発動された。さらにマーケットが警戒するのは原油安だ。産油国の財政に直結するだけでなく、シェールオイルに大きく依存する米国石油業界も採算割れの危機に直面する。

 問題はこうした危機的な状況に、首相の安倍晋三が率いる日本政府が的確に対応しているのかという点だ。政府はコロナウイルス問題が拡大する中で「適切」と「ちゅうちょなく」の言葉を連発する。しかし、自民党内からも批判が出ている。現実に起きている現象と安倍の言葉の乖離が大きいからだ。

 政府の対策本部に設置された専門家会議が「ここ1~2週間が瀬戸際」と警告を発したのが2月24日。その翌日になって安倍が突如としてイベントの中止、延期を要請。さらに27日には全国の一斉休校要請、その後も中国、韓国からの入国制限措置と矢継ぎ早に決断を下した。