「菅人事」を跳ね返した現役たちの意地
Photo:Masaki Nakamura

 日本の経済・産業政策全般をつかさどる経済産業省は、官邸中枢に主要な人材を送り込んで存在感を増している。政治主導の流れにのみ込まれて地盤沈下した最強官庁、財務省とは対照的だ。

 2012年12月に発足した第2次安倍晋三内閣では、資源エネルギー庁次長などを歴任した今井尚哉氏[S57、東大法]を中心に経産官僚が首相秘書官としてブレーンを務めている。安倍内閣が「経産内閣」とやゆされるほど、経産省が財務省に代わって霞が関で主導権を握り始めている。

 その経産官僚の頂点に君臨するのが経済産業事務次官。同期との熾烈な出世レースを勝ち抜いたエリート中のエリートである。

 財務省は東京大学法学部卒業が必須で、入省時にすでに次官候補が絞られているといわれる。対して経産省はこれといった学閥もなく、自由な気風で“実力主義”だ。とはいえ基本的に年功序列で、次官ポストへとつながるコースは存在する。

 将来の次官候補として頭角を現し始めるのは30代前半のころだ。大臣官房3課(総務課、秘書課、会計課)の課長補佐として省内の政策を議論する法令審査委員を務めることが出世街道の入り口。同期から一目置かれる存在になる。

 次に重要なのが国際経験。花形とされるのは、日本貿易振興機構(JETRO)のニューヨーク産業調査員。日本の同盟国である米国で経済動向を調査するほか、米国政府などで人脈をつくるのがミッションとなる。

 大臣官房3課の課長を経験し、事務次官への王道を歩む者にとって、事実上の“筆頭局長”である経済産業政策局長になれるかどうかが大きな関門だ。省庁再編前の通商産業省を含め、経済産業政策局長から事務次官になれなかった人はそれほど多くないからだ。