6月に入ってから自民党幹事長の二階俊博(81)の注目度が一気に高まっている。自民党本部4階にある幹事長室は千客万来。幹事長代理の林幹雄(73)、金田勝年(70)ら側近に加え、首相の安倍晋三(65)の側近でもある幹事長代行の稲田朋美(61)らが常駐。そこに自民党選挙対策委員長の下村博文(66)、国対委員長の森山裕(75)ら幹部が引きも切らずに出入りする。中央省庁の事務次官クラスも顔を出す。いずれも長時間にわたって話し込むことはない。
「何かありますか」
二階はそれしか言わない。手短に話を聞いた後、ほとんどは「分かった。ご苦労様」で終わる。ただし納得できない問題については語尾を濁して返事をしない。これが二階流だ。短時間とはいえ、こうした出入りがいつしか大きな政治の流れを生み出していく。
そしてメディアを巧みに使う。記者会見の二階の一言が政治全体に大きな影響を与える。「政界のドン」と呼ばれた元副総裁の金丸信(故人)を彷彿させる。