「どうやって美しさを保つ?」「50代で結婚できる?」「年老いた親をどうする?」「50代で仕事を失ったら」「大人であることのメリット」……など、大人の女性のリアルを綴ってフランスで大人気となったブログを元に生まれた書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』が、6月3日に発売。化粧品とテクノロジーの進化により、母親世代よりもずっと若く美しくなった今の女性たちですが、アクティブに人生を楽しんでいるように見えて、「みんな言わないけど、本当はどうしてるの?」「これって私だけ?」と密かに気になっていることがたくさんあるはず。この連載では、誰も教えてくれないリアルな恋愛事情と、大人としてのお作法について、著者の体験をもとに紹介していきます。

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イケメンの、モヤモヤする発言

レストランで、美形(見た目はとっても大切)の男性と知り合ったことがある。彼はカウンター席に座って一人で食事をしていて、その横に、私が女友だちと一緒に座った。会話を始めるのに絶好のシチュエーション! まず、ほほ笑みを交わし、それから連絡先を交換。あとで知ったけれど、その時点では彼には恋人がいた。でも2ヵ月後、フリーになるとすぐに電話が。

スタートは月並みだった。美術展に行って、食事をして、そしてお泊まり。翌朝、セカンドギアが入った。さらに翌日、まるでクラッチにつながずにサードギアを入れたみたいな気がした。つまり、少し速すぎるということ。このまま猛スピードで関係がつくられてしまっていいの? もっとゆっくり進めたかった。そんなに急ぐ必要が私にはなかったから。でも、加速する車を止めるのも怖い。こんなに時間をかけて、やっと素敵な王子様に巡り会えたのに、魔法が解けてしまったらどうしよう?

結局、すぐにお別れすることになったのは、ほんの一言がきっかけだった。
彼はセーヌ北側の17区で、屋根裏部屋に住んでいた。だから、二人の「お楽しみ」には使えない。そして、私たちの「恋」が始まって3日目、夕方の6時半に彼が電話をかけてきて、とても明るくこう言った。「シェリ、パンを買ったんだ。家で会わないか?」

問題その一。彼は私を「シェリ」と呼んだ。結婚していたときも、私は最後まで、この呼び方が嫌いだったのに。
問題その二。この素敵な王子様は、食事をするために私の家に押しかけようとしている。パンを持ってくるというのは、前菜を用意してほしいということ? そうならば、自然な流れでメインディッシュもデザートも、となってしまうのが目に見えている。

そして最後の問題が、「家で」会うというその発想。

「家で? 誰の家?」
「だから……家って、君(きみ)の家だよ!」

一瞬の沈黙。孤独。疑問。好奇心。方向づけのまちがい……。

フリーの男性にはどれだけ多くのタイプがあるのだろう? いったい何人に会えば最初からいいテンポで付き合える男性に巡り会える? このテンポというのは、知り合って、惹かれ合って、よく考えて、ちょっと距離をとる……。つまり、相手について最小限のことを知るのにかける時間。お互いが、高まっていく欲望にゆっくりと身を任せる時間のこと。

自立している女性が犯しやすい失敗は、いとも簡単に男性をベッドに導き入れてしまうこと。特に、抗うつ剤と猫だけを慰めにする毎日を送っている(あら、これは誰のことだったかしら?)と、愛と引き替えにあなたの資産を共有しようとする男に引っかかるリスクが高くなる。そうなったら、いくらも経たないうちに、彼と一緒にイケアでカートを押している。これは本当の悪夢!

いかがでしたか。今回は、せっかく見つけた良さそうな男性の「危険信号」についてのエピソードをご紹介しました。ミレーヌ・デクロー著・吉田良子訳の書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』では、ほかにも著者や友人たちの実体験や、大人ならではのパートナー選びのコツについて、フランス人ならではのウィットに富んだ視点を、クスっと笑えるエピソードとともに多数紹介しています。