「人生を変えるのに、最も効果的なライフハックとは何だろう?」と、デイヴ・アスプリー氏はこれまで20年近くかけて、シリコンバレーの最新のラボからチベットの修道院まで、世界中のあらゆる場所に足を運んで、体当たりの自己実験で研究してきた。
さらに、脳科学、生理学、東洋哲学、心理学といった分野の専門家の他、アスリート、医師、ライフハックの達人まで、400人以上の研究者や成功者たちに、「最も重要な3つのことをあげてほしい」と取材を重ねてきた。
そんな探求の果てにつかんだ答えを「脳」「休息」「快楽」「睡眠」「運動」「食事」「幸福」「人間関係」等の分野に体系化、1冊の「究極のハック集」にまとめたのが『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、栗原百代訳)だ。
著者自身、「20年前にこの本に載っていることを知っていたら、どんなに人生が違っていただろう」という衝撃的なハックが目白押しの本書から、一部を特別に公開する。

言葉ではなく「イメージ」で記憶する

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 脳は言葉の世界ではなく、感覚、音、イメージの世界で進化した。何かを読んだり聞いたりするとき、イメージを構築し、脳の奥深くにある視覚を司るハードウェアを活用できるように練習しよう。言葉でものごとを記憶しようとすると、脳の動きが鈍り、もっと良い使い方ができるエネルギーを浪費してしまう。

「視覚化」すれば、脳は簡単に記憶できる

 マティアス・リビングはおそらくあなたが聞いたこともない称号の持ち主だ。スウェーデンにおける脳トレーニング界の第一人者、3度のスウェーデン記憶力チャンピオン、世界では75位にランクされている。世界メモリースポーツ協会から、世界に154人しかいないグランドマスターに認定されている。

 マティアスが自分の記憶をハックしだしたのは、2008年のこと。それ以前は平凡な記憶力の持ち主だったという。一度に覚えられる数字は10個かそこらでしかなかったが、いまでは1000個を記憶できる。

 マティアスは学ぶことが大好きだった。記憶力は改善できると知って、脳を鍛えはじめた。わずか数ヵ月後には、スウェーデン記憶力選手権で優勝した。彼は脳を鍛えることを車の運転を習うことになぞらえる。数ヵ月はかかるが、身につけた新しい技能はいつまでも忘れることはない。さらに、年を経るごとに技術が向上する(運転技術もそうだとよいのだが)。

神経の4分の3は「視覚」と結びついている

 マティアスによれば、記憶力を強化する基本は、言葉よりイメージで考える方法を脳に教えることだ。そのためには視覚化(ビジュアライゼーション)のスキルを向上させるトレーニングが必須になる。

 イメージを視覚化すると、情報は脳の記憶装置のところまで近道をする。短期記憶をすっ飛ばして長期記憶の保管場所に直行してくれるので、定着しやすくなる。

 五感──視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚──のうち視覚が脳にとって最も重要なのは、最も密接に生存に結びついているからだ。五感とともに働くニューロン(神経単位)の4分の3は視覚と結びついている。

 聴覚や触覚を通じてのほうがよく学べると考える人もいるが、マティアスによれば、記憶の専門家は新しい情報を吸収する方法としては視覚化が最も効果的だと考えている。人に教えたり自分で実際にやって学んだりすることは新しい情報を記憶する強力な方法だが、どちらも視覚化が伴うことで効果が強化される。