業務の再委託や外注がくり返され、電通や電通子会社の先にも多くの企業が連なっているからだ。

 企業間の情報共有のハードルは高く、責任の所在もあいまいになりがちで、経産省はどこで何が起きているかを把握できないでいる。そのため改善策もとりづらく、入金の遅れがなかなか解消されない。

 5月上旬に申請した人たちの多くは、政府のいう「2週間」を信じ、家賃などの支払いが集中する月末までにお金がもらえると想定していたはずだ。

 それなのに入金はなく、廃業や閉店を決めた人もいたとみられる。地域で長く愛されてきた零細企業や老舗がいま、次々と姿を消しつつある。

「安全網」整備後回しのツケ
アベノミクスの欠陥を象徴

 安倍政権がこれまで数々のスキャンダルを乗りこえられたのは、アベノミクスがまがりなりにも「結果」を出していたからだ。

 安倍氏が首相に返り咲いた2012年末から7年間で、表向き、失業率は大きく改善した。折から円高局面の転換が始まっていたことに加えて異次元の金融緩和策で円安・株高が加速、大手輸出企業を中心に企業業績は復調し、多くの雇用が生まれた。

 安倍首相はその成果を、選挙の応援演説などでたびたび誇ってきた。

 グローバル経済のもとでは、先進国の雇用は不安定化する。国民の関心は雇用にあり、支持率にも直結すると、政治家として感じとっていたのだろう。

 大方の予想を覆して米国民がトランプ氏を大統領に選び、英国民がEU離脱を決めたのも、背景には雇用危機があった。

 コロナ禍に直面しても、安倍首相は雇用に強いこだわりを見せてきた。会見でも、「事業と雇用を守り抜く」などとくり返し発言している。

 しかしいま急速に進むのは、仕事の蒸発と雇用の悪化だ。

 派遣社員などの非正規雇用が次々と切り捨てられ、中小企業では倒産や解雇が広がるが、給付金の遅れに象徴されるように政府の対策は後手に回っている。
 
 アベノミクスは大企業を支えることで経済を成長させ、仕事と雇用を増やす政策だった。それにとらわれ、経済が悪くなったときの安全網づくりを後回しにしてきたツケが、一気に出始めている。

 近しい企業への政策の丸投げで目詰まりが起こり、結局は仕事と雇用が失われていく。持続化給付金の顛末は、アベノミクスの「失敗」を象徴しているかのようだ。