副業は収入を得る以外にも自己実現の場としての目的もあるはずだが…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

6月16日開催の政府の未来投資会議にて、兼業・副業の促進が議論された。政府が副業を促進すること自体は、国民にとっては多様性ある自己実現の追求が図れる点で好ましいことだ。しかし、現在の政府議論は、直近の新型コロナウイルスによる需要減に大きく影響されており、副業の本質を理解していない印象を受ける。何が問題なのだろうか。(いちよし経済研究所シニアアナリスト 高辻成彦)

未来投資会議では
残業時間の上限規制を維持する案

 新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前から問題提起されてきたのが、「副業」の促進だ。コロナ禍を受けて議論が一気に進展しそうだが、本質的な視点が置き去りになっているように筆者は感じている。

 日本経済新聞電子版(6月16日付)の記事「兼業・副業で自己申告制 政府、企業の責任問わず」が、6月16日に開催された政府の未来投資会議での議論の内容を報じている。それによれば、「兼業・副業の労働時間の管理について労働者が自己申告する制度を導入する方針を示した」「申告漏れや虚偽申告があっても企業の責任は問わないこととし、解禁に動く企業が増えるよう促す」という。

 未来投資会議の案では、労働者が本業と副業で働く2社での業務時間が、残業時間の上限規制に収まるように調整する方針とみられる。本業の残業が増えれば、副業の労働時間は抑えるということだ。前出の記事によれば、「労働時間は通算し、法定外労働時間が発生した分は、どちらの企業も割増賃金を払わなければいけないルールは変えない」としている。

 しかし、この規制では、副業の活動そのものが制限されたままとなるリスクをはらんでいる。