スタンフォード大学のポール・ローマー教授は「内生的成長理論」で、経済の中で、アイデアなどによって技術進歩がいかにして生まれ、経済の持続的成長にいかにつながるかを解明した。

 それまでの新古典派の成長理論では、アイデアは経済とは別のところで外生的に決まるとされていた。だがローマー教授らが解明した通り、アイデアが特殊なのは、その「非競合性」にある。

 アイデアは物的資本と異なり、ある人が利用しても消費されず、同時に複数の人が利用できる。簡単に複製もできる。

 アイデアのそうした特性ゆえに、規模の経済が強く働き、実際にGAFAは巨万の富を築いたのである。

企業のマークアップ率高まったが
全体の潜在成長率は上がらず

 しかし、あるアイデアは過去の他の人のアイデアを基に発展したものが少なくない。もちろん、新たなアイデアの創出を促し、イノベーションを可能とすべく、特許権や知財権によってアイデアは保護されてきた。

 英国で最も早く産業革命が可能になったのは、所有権が早くから確立し権力者に財産を奪われなくなったこともさることながら、発明などに対し、最も早く特許権を認めたことがある。

 ただ、一方であまりに強く保護し過ぎると、アイデアの利用が制限され、経済厚生が阻害される。独占の弊害が現れるのである。

「知識経済」の下で、そのアイデアによって成功したビジネスモデルの代表ともいえるプラットフォーマーについて考えてみよう。

 プラットフォーマーたるGAFAらは、自らが作り上げたドミナント・デザインが新興企業の新たなビジネスモデルに脅かされるのを避けるため、潤沢なキャッシュフローに物を言わせ、それらの企業を買収して、新たなビジネスモデルを葬り去っていたことが露見している。

 近年、米国企業のマークアップ率(付加利益率、原価に対する利益の割合)はGAFAなどにけん引されるように上昇傾向が続き、超過利潤も趨勢的に改善している。

 企業がもうけるようになったのは悪いことではないが、一方で米国経済全体の潜在成長率が高まっているわけではない。

 つまり、単に分配構造が変わっただけ、ともいえる。むしろ寡占や独占の弊害で、本来ならアイデアのおかげで可能になっていたはずの経済成長が抑えられていた可能性も排除できない。

 やはり株高は経済全体の活況を示すわけではなかったということである。