高齢者の割合が高まることは、“現役世代”(仕事を持っている人)の多様化ももたらす。高齢になれば病気がちになったり、介護を受けながら生活したりする人が増える。認知症を発症するケースも少なくない。結果的に、親の介護に関わらざるを得ない現役世代が増えるのだ。介護をしている人は約628万人で、このうち、仕事を持つ人は約346万人と6割近くにのぼる(総務省「平成29年就業構造基本調査結果」より)。
今後、介護に関わるこうした現役世代が増えれば、残業や休日出勤、頻繁な転勤も可能な“正社員”は減るだろう。政府が進める「働き方改革」の柱のひとつである「同一労働同一賃金」の影響もあり、2045年には正社員と非正規社員の区別はなくなっているかもしれない。女性や高齢者自身が、それぞれの事情に応じて働く機会もいま以上に増えているはずだ。
外国人の存在も社会を形成する大きなカギになる
2045年には、外国人も、日本社会で重要な存在となっているだろう。外国人労働者に対しては、2019年度からの5年間で約26万~約34万人の受け入れ拡大を政府は想定しているが、その後も加速度的に増える可能性がある。むしろ、外国人労働者が増えないと、農林水産業・中小製造業・介護・飲食サービス・建設業など、人手不足が深刻化している日本の多くの“現場”は回らなくなる。
外国人労働者にとっても、日本の社会は閉鎖的な面もあるだろうが、治安が良く、宗教的な対立もほとんどないことはメリットだろう。そのため、雇用条件が悪くなければ、就労先として人気が高まる余地はまだ十分にあるはずだ。2045年に外国人労働者を含む中長期在留者が現在の倍の500万人を超えても何ら不思議はない。