パナソニック 正念場#11今年1月、米国のテクノロジー見本市「CES 2025」で講演したパナソニック ホールディングスの楠見雄規社長 Photo:JIJI

パナソニックが注力してきた水素燃料電池は、二酸化炭素(CO2)を排出しないため、ニーズが急拡大する可能性を秘める。国内ではパナソニック、東芝、トヨタ連合の3陣営が水素燃料電池の覇権を争っているが、大きく成長できている陣営はまだないようだ。特集『パナソニック 正念場』の#11では、水素燃料電池の勢力図を明かすとともに、ビジネスとして軌道に乗せるための課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

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パナと東芝の関係者が水素燃料電池について
「3年後に伸びる」と断言する理由とは?

 伸び悩みが続くパナソニック ホールディングス(HD)には、成長のポテンシャルを秘めた事業もある。その一つが定置型の水素燃料電池だ。車載電池を生産するパナソニック エナジーとは部隊が異なり、家電や電設資材を手掛ける事業会社パナソニック(株)傘下のエレクトリックワークス社が管轄している。

 水素燃料電池は、水素と酸素を反応させて発電を行う。その過程で二酸化炭素(CO2)が発生しないのが大きな特徴だ。エレクトリックワークス社が手掛ける定置型は電気自動車(EV)のバッテリーとは異なり、地面に設置して使用する。

 企業がこの電池を事業所に設置すれば、自社で排出するCO2を削減できる上、脱炭素への取り組みを対外的にアピールできる。成長性を察知した東芝やトヨタ自動車連合も参入しており、水素燃料電池業界は“異業種バトル”の様相を呈している。

 ところが、「おそらく水素燃料電池で安定的に利益を上げられている会社はまだない」(水素燃料電池メーカー関係者)という。ビジネスモデル構築には、クリアしなければならない課題があるのだ。

 次ページでは、水素燃料電池業界の勢力図を明かすとともに、この事業を軌道に乗せるための課題に迫る。