2045年の日本社会の質的変化は何に影響されるか?

 長期的に見れば、国内における外国人の “訪日旅行者”の比重も高まるだろう。2013年に1000万人を突破してからわずか5年、2018年には3000万人を突破した。「新型コロナウイルス感染症の終息」というハードルをクリアすれば、東京2020オリンピック・パラリンピック(2021年開催予定)での訪日旅行者の増加は、2025年の大阪・関西万博と合わせて、国内経済に良い効果をもたらすにちがいない。

 「量的変化は質的変化をもたらす」と言われる。

 いま、人口という“量”の変化は予測できるが、それがどのような社会の質的な変化をもたらすかまでは誰にもよく分かっていない。

 実際、専門家や識者の意見はさまざまだ。現状では、日本の未来に対してはネガティブな予見のほうが多く、高齢者が溢れ、経済は縮小し、社会から活気が失われるという。

 しかし、本当にそうなのか。

 ビッグデータを収集し、AIで分析し、ロボットも活用すれば、経済や社会は大幅に効率化できる。国全体が着実に経済成長しながら、成熟した社会を実現することは可能だ。また、言うまでもなく、人口動態は社会を左右する重要な与件であるが、人口動態の変化がそこで生きる私たちの考え方・価値観・幸福度をすべて規定するわけではない。

 2045年――四半世紀後の多様な人々が暮らす社会の成熟度合いには、現在の私たちの考え方・価値観も強い影響を与えていくはずだ。 

※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2019」特集《ダイバーシティが日本を変える!》内のテキストを転載(一部加筆修正)したものです。
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